バアル・ゼブル(3/4)


「カスが。いつまで遊んでやがる」


バジルと攻防を繰り広げるアルに対してザンザスが苛立ち紛れに言った。アルは銃を発砲し、動きを止めた。


「そう言われましても、私は『メイド』としてここに立っていますから」


それ以上は何もしない、と暗に告げてアルは新しく弾丸を詰め込んだ。チッ、とザンザスは舌打ちをする。


「また金か」
「私は忠誠心などでは動きませんから」
「話す暇は、与えません!」


バジルの刀を受け止め、足を振り上げて、バジルの接近をアルは許さない。ザンザスの考えを読み取れるようになったアルはチラリと顔を覗いた。


「依頼だ。あのカスを倒せ」
「…了解しました」


最初から『依頼』しておけばよかったものを。これでは二度手間になってしまったではないか、とアルは思いつつ、バジルに焦点を合わせた。


「バジルさん、と申されましたか?先に忠告しておきますが、降参した方が身のためですよ」
「何を…!」


ニヤリと笑ってアルはナイフと銃を投げ捨てた。捨て身の行動か?アルのことをよく知らない人は首を傾げるしかない。そんな人達に向けてリボーンがまた口を開いた。バジルはこのチャンスを逃すわけにはいかない、と刀を構えてアルに向かって走り出した。


「俺はアルにあらゆる武器の使い方を叩き込んだが、その中でもずば抜けて扱いに長けていたのは銃に剣だ」
「ボス、やはりあんなやつに任せるのは間違いだったのでは…」


ガウン、と火薬武器特有の発砲音が響いた。目の前の光景に目を見開く。ツナが見たことのない武器に疑問を口にした。


「な、なにあの武器……銃の先端に剣が…!」
「あれは……銃剣!」


コロネロの言葉に「ああ」とリボーンが頷いた。
ザンザスとの会話後、銃剣を持ち出したアルの動きが変わった。互角だった戦いがアルに一方的に押されている。ヴァリアーですら初めて見るアルの実力に驚くばかりだ。


「ししっ…なに、アイツってばあんなに出来たのかよ…嘘だろ」
「元々銃剣にはマスケット銃が用いられていたが、あれはアルが自分用に改造し、弱点を補った特別な銃だ」


「俺が改造方法を教えたんだぞ」と誇らしげに語るリボーンに「何してくれてるんだよ!」とツナが叫んだ。

銃を発し、バジルが弾丸を避けている間に距離を詰めて先端の剣で攻める。バランスを崩したバジルを押し倒し、アルが彼の体を踏み付け、銃剣を首元に突き付けた。


「接近戦に持ち込めば剣で、距離を取られれば銃で対応される。死角なしの戦い方を持ったあいつは全知全能の神、『バアル』の異名を持つ元・ヒットマンだぞ」


<<< >>>

back




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -