金が敵(3/4)


霧の守護者戦を終わらせ、残りは雲と大空戦のみとなった。今の結果は五分五分。意外な結果ではあるな、と思った。


「明日はテメェも来い」


滞在している屋敷にある、ザンザス様専用の高価な座り心地の良さそうな椅子に深く腰掛けた主人が唐突にそう言った。残り少なくなったグラスに酒を注いで、ザンザス様の横顔を窺う。


「何故、と問うてもよろしいでしょうか?」
「あのカス共が慌てふためく姿を見てぇ」


「左様ですか」と返事をした。
勝負の途中経過も意外だが、この人がこんなことを言うのも意外だ。ついでに面白いものを見られる、と伝えられる。これはもう行くしかないのだろう。明日は雲の守護者戦。あのゴーラ・モスカというメカの出番だ。

ザンザス様が言う面白い、とは何のことか気になってはいるが。最近あったこと、といえばリング争奪戦と沢田家光がイタリアに飛んだこと。何か最近起こったことと関係あるとは思うのだが。それは後々調べるとしよう。

ザンザスはザンザスで、実はアルの真意を確かめるためにこんなことを言ったのだが、普段は敏過ぎるアルはそのことに気付かない。金で動くこいつを疑うなど、ただの杞憂だとザンザスは思うことにした。


「リング争奪戦が終わればテメェを幹部に昇格させる」
「……はい?」
「雲の守護者だ」


What's?何を言ってるのか、この人は。私はメイドだと何度も言っているのに。でも「金」と言われたら何も言えない。クソ。言い返したい。けど出来ない。
A man's wealth is his enemy.金が敵。私の大好きなお金が牙を剥くなんて、とてもショックだ。悔しい。

明日が来なければいいな、とありえないことを願った。


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