▼金が敵(2/4)
リング争奪戦はついに残りの二つとなった。霧の守護者戦。ツナの守護者は見たことも、会ったこともないクローム・髑髏という少女であった。彼女の幻術も素晴らしかったが、相手はアルコバレーノ、マーモンことバイパー。経験の差が違う。地に伏せられたのは少女であったが、途中で交代した六道骸により、戦況は覆った。
六道骸の幻術は圧倒的だった。アルコバレーノであるマーモンすらもいとも簡単に平伏せる。以前戦った相手で、今は味方と言えどツナはその強さに戦慄した。
二つに別れていた霧のリングは今六道骸の手の中であるべき形を取っている。 明日の雲戦に勝利さえすれば、沢田綱吉が正式なボンゴレ後継者だと確定する。ツナの雲の守護者は守護者最強の雲雀恭也。悪い札ではない。ザンザスが傍らの、雲の守護者である機械に向かいマーモンの抹殺を命じた。それを聞いた骸が眉を寄せる。
「まったく君はマフィアの闇そのものですね、ザンザス。君の考えている恐ろしい企てには、僕すら畏怖の念を感じますよ」
何かを知っているような骸の口調に、今度はザンザスが僅かに眉を寄せる。
「その企てのために、あの気まぐれな彼女を従えているようですが…彼女をあまり信用し過ぎない方がいい。彼女は利益のためなら何だってする、ある意味マフィアの闇に似た情のない人間だ」
闇、という点では君達二人は似た者同士ですね。骸は愉快そうに言った。「(誰の話?)」骸とザンザスの間にだけ通じる話に、ツナは首を傾げた。けどその人を自分は知っている気がする。超直感が告げていた。
忠告はこれぐらいにしておきましょうか、と骸が話を終わらせる意を告げた。僕はそんなに良い人間ではないから、と。「とりあえず」
「君より小さく、弱いもう一人の後継者候補を、あまり弄ばない方がいい」
彼女の言う通り、心の底でほんの少し沢田綱吉の肩を持っているのかもしれない、と骸は嘲笑した。
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