億万長者(4/5)


「それじゃ改めて自己紹介しましょうか?」とルッスーリア様がパンパンと2回拍手をして、場を仕切り直した。


「こうして会うのは2回目だけど、改めて。私はルッスーリアよぉ」
「スペルビ・スクアーロだぁ」


お二人には面接時にこれでもかと言うほど強烈な印象を植え付けられたので、よく覚えている。改めてのお二人の紹介を脳内に刻み付ける。特にスクアーロ様のことは以前からよく存じ上げている。かつてヴァリアーのボス候補であった剣豪。ヴァリアー内で実質2の実力者である。


「うししっ、オレはベルフェゴール。王子って呼んでいいぜ」
「ベルで十分さ。僕はマーモン」
「ベル様にマーモン様でいらっしゃいますね」
「王子って呼べっつってんだろ」


ナイフ投げが趣味のこの金髪のお方、ベル様は王子らしい。頭上のティアラがキラリと輝いた。王族であることが自称なのか、本当なのか、特に確かめなくてはよかろう。

そしてフードを深くかぶった赤ん坊、マーモン様。本来であればこの歳の子供はこんなに流暢に話せはしない。それでも私がこの事実を受け入れている理由。呪われた最強の赤ん坊、アルコバレーノであるから。

どうやら私の想像以上にヴァリアーのメンバーは有能揃いらしい。


「俺は「ムッツリ」ベル!喋ってる最中にかぶせるな!」


最後に残った幹部の方の名前はレヴィ・ア・タンといい、決してムッツリではないらしい。(本人談)
濃ゆい印象を受けるレヴィ様はどうやら幹部の中で所謂イジられという立ち位置にいるようだ。各それぞれの立ち位置を誤解して覚えぬよう、気を付けねばいけないだろう。

個性的な幹部の方々のことを覚えるのに時間がかかることはないようだ。


「ししっ、にしてもお前さ、なんでこんなとこに働きにきたわけ?」
「それは僕もぜひ聞きたいね」
「ハッ!もしかしてボス目当てで!?」


それはありません、レヴィ様と誤解を招かぬよう否定しておく。
ベル様とマーモン様、疑問を口にしたのはお二人だが、幹部の皆様全員がこの過酷な労働条件、職場になぜ私が雇われに来たのか気になっている様子。私としては明確な理由があったからであるので、躊躇なく口を開く。


「給料が良かったからです」
「「「は?」」」
「私はお金が大好きですから」


私の答えを聞いて、皆様簡単に納得したようだ。

信頼する銀行はスイス銀行。給料の振り込みはそこの口座にお願いします、と伝えた。ベル様が「マーモンみたい」と呟いた。どうやらマーモン様とは話が合いそうだ。


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