人生、意気に感ず(4/5)


死の恐怖から、ユニさんの炎は一時弱まった。けれど最終的に彼女は死んだ。γと共に。


「トゥリニセッテを覚醒させ、時空を超えた覇者になる僕の夢は、君達のくだらないお友達ごっこのせいで散ったんだ。この意味が…この意味が分かっているのかァ!!」
「誰がユニを殺したと思ってるんだ。お前がこんな世界にしたからユニは…ユニは死んだんだ!!」


この世は金の世。金は全て。それが私の信条だ。信条だった。絆は不確か。人は不完全。価値は確か。金は完全。だから私の心を満たすものはそれしかないと思っている。思っていた。それなのに、この喪失感はなんなのだろう。


沢田くんと白蘭の最後の衝突。凄まじい炎圧。消滅したのは白蘭だった。弱虫だったヒーローが勝つ。そんな、ある意味王道な終わり方だった。

残った桔梗をベル様が蹴り飛ばした。


「しししテメーのボスはくたばっちまったぜー」
「次は貴様の番だ」
「殺され方の希望とかあれば聞きますけどー」
「ちょっ何してんの!?もうこれ以上の犠牲者はいらないよ!」


人に害をなす怪物だ、とレヴィ様が庇う必要がないと言った。「それは違う」と制止したのは入江さん。


「彼らは元々一般人だ」
「そんなわけねぇじゃん。こいつらの戦闘力は一般人のレベルを超えてるぜ」
「いいえ。一般人である可能性が高いです。どれだけ調べつくしても、何も出てきませんでしたから」


マフィア、軍人、暗殺者、学者。どれだけ調べても何も出てこなかった日々が懐かしい。


「ハハン。一般人とは安い言われようですね…我々は世が世なら各分野で天下を取った人間だ!!」


だがこの世界では不運に見舞われて叶わなかった。それを白蘭が救ってくれたのだと。


「一人でも多く道連れにしてくれる!」


最後の力を振り絞って、桔梗が匣兵器の植物を向けた。桔梗のがむしゃらの攻撃は向かう先がわからない。見苦しい抵抗だ。あの先、ザンザス様の方へ…。気付けば私の体は動いていた。そういう意思があったのか、なかったのか、わからないまま、私の体がバランスを崩したのがわかった。


「アル!」


私の名前を呼んだのは誰なのだろう。


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