▼人生、意気に感ず(4/5)
死の恐怖から、ユニさんの炎は一時弱まった。けれど最終的に彼女は死んだ。γと共に。
「トゥリニセッテを覚醒させ、時空を超えた覇者になる僕の夢は、君達のくだらないお友達ごっこのせいで散ったんだ。この意味が…この意味が分かっているのかァ!!」 「誰がユニを殺したと思ってるんだ。お前がこんな世界にしたからユニは…ユニは死んだんだ!!」
この世は金の世。金は全て。それが私の信条だ。信条だった。絆は不確か。人は不完全。価値は確か。金は完全。だから私の心を満たすものはそれしかないと思っている。思っていた。それなのに、この喪失感はなんなのだろう。
沢田くんと白蘭の最後の衝突。凄まじい炎圧。消滅したのは白蘭だった。弱虫だったヒーローが勝つ。そんな、ある意味王道な終わり方だった。
残った桔梗をベル様が蹴り飛ばした。
「しししテメーのボスはくたばっちまったぜー」 「次は貴様の番だ」 「殺され方の希望とかあれば聞きますけどー」 「ちょっ何してんの!?もうこれ以上の犠牲者はいらないよ!」
人に害をなす怪物だ、とレヴィ様が庇う必要がないと言った。「それは違う」と制止したのは入江さん。
「彼らは元々一般人だ」 「そんなわけねぇじゃん。こいつらの戦闘力は一般人のレベルを超えてるぜ」 「いいえ。一般人である可能性が高いです。どれだけ調べつくしても、何も出てきませんでしたから」
マフィア、軍人、暗殺者、学者。どれだけ調べても何も出てこなかった日々が懐かしい。
「ハハン。一般人とは安い言われようですね…我々は世が世なら各分野で天下を取った人間だ!!」
だがこの世界では不運に見舞われて叶わなかった。それを白蘭が救ってくれたのだと。
「一人でも多く道連れにしてくれる!」
最後の力を振り絞って、桔梗が匣兵器の植物を向けた。桔梗のがむしゃらの攻撃は向かう先がわからない。見苦しい抵抗だ。あの先、ザンザス様の方へ…。気付けば私の体は動いていた。そういう意思があったのか、なかったのか、わからないまま、私の体がバランスを崩したのがわかった。
「アル!」
私の名前を呼んだのは誰なのだろう。
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