人生、意気に感ず(5/5)


この戦いの勝利に意味はあったのだろうか。自問したツナを否定したのはアルコバレーノの一人、コロネロであった。アルコバレーノの復活だ。

全パラレルワールドにおいてマーレリングを使って白蘭がしてきたことは全て無くなることになる。ユニはそれを伝えていったのだとコロネロは言った。これこそトゥリニセッテの奇跡なのだと。


「待ってよ。それなら、たった今殺されたアルさんの命は…」
「そ、そうだよ!アルは桔梗に…!」


そう言って、全員の視線はザンザスの腕の中のアルに集まった。目が閉じられている。「アルちゃん…」と京子の目から涙が流れた。アルコバレーノは何も言わない。最悪の事態が頭を過ぎった。


「…うっ」
「アル!?」


アルの瞼がゆっくりと上がった。息をしている。


「よかった!生きてたんだ!」
「……すみません。態勢を立て直せずそのまま倒れて頭を打ってうっかり気絶してました」
「うっかりなのそれ!?」


鋭いツナのツッコミ。先程まで頼もしく戦っていた彼と同一人物だとは思えない。


「運がいいにも程があるね」
「しつこいくらいこの指輪のことを確認されていましたから。厳重に保管しておきましょうかと」


マーモンの言葉にアルは胸ポケットから鋼鉄のケースを取り出した。ジャンニーニにお願いして作ってもらった特別性のケースだ。蓋を開けて中身を確認する。「キレイ…」とハルがほぅと呟いた鋼鉄のケースは外見が壊れていても、中身は無事なようだ。


「で、これは一体何なんですか?未来に来て、ずっとこれに振り回されていた気しかしないのですが…」


ザンザスがアルの片頬をごつい手で包んだ。「ザンザス様…?」首を傾げたアルのもう片方の頬に、ザンザスが顔を近付けた。


「Ti amo.」


「えぇっ!?」やら「はひっ!?」やら「ぬおおおお!!」だか、アル以外の口から飛び出している。そんな動揺の中、ザンザスは意に介せず上着をはためかせて去って行った。伊達男、恐るべし。成る程。この指輪の意味がやっとわかった、とアルは呟いた。

確かに予想外の行動ではあった。だがしかし、顔を羞恥から赤くしているのは張本人のアルではなく中学生達である。


「…本人ならいざ知らず、関係ない他人が頬を染めるだなんて」
「むしろなんでアルはそんなに平然としてんのさー!!」
「初心なんですね」
「まだまだガキだな」
「なんでなの――!?」


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