星の瞬き | ナノ

  五代目火影


うっすらと目を開け目の前に映る天井をぼーっと見つめる。段々と自分が眠る前に起こった出来事が思い出されて意識が覚醒する。

自分はいつまで寝ていたのだ。

傷む体を無理に起こし周りを見る。どうやら自分達が泊まっていた宿屋のようだ。誰がここまで運んでくれたのだろう。


「目が覚めたか、ナルセ」


疑問を一つずつ挙げていると扉が開き綱手、シズネ、自来也の順で部屋に入って来た。綱手はフッと笑いオレに歩み寄る。


「やっと目が覚めたか。お前、丸二日も寝ていたんだぞ?」

「…え?ふつ、え?」


随分長い間眠っていたのだと驚く。確かカブトに何かやられて…。痛んだ位置から心臓でもやられたのか?でもそうしたら二日は短いほうなのか。

九喇嘛パワーぱねぇ!一時はぶん殴ろうとしたが勘弁してやるか。感謝の証として今度油揚げでもくれてやろうかな。


一人考え込み始めたナルセを三人は不思議そうに見つめるが、ふっと顔を上げる。



「とりあえず、ご飯食べません?」


*****

所変わっていつかの居酒屋。

二日も何も食べていなければ、そりゃ空腹になる。三人は起きてまず言ったことが「何か食べよう」ということに呆れていたが、これを言えばそれもそうだと出かけることになった。


次々と運ばれてくる食事をがつがつと平らげていく。食事の最中自来也から綱手が五代目になることを聞いた。


「やっほへっひんひはんはな」

「口の中の物を食べ終えて言わんか…」


自来也に呆れながら注意をされ口内の物をごくりと飲み込んで再び口を開く。


「やっと決心したんだな。…ふむ、でもなぁ……」

「なんじゃ、何か問題でもあるのかのォ?」


オレの躊躇ったような声に自来也は尋ねる。オレは食事を口に運びつつ悩んだ末に発言する。


「いやなに。信頼できる経理を用意しないとな」


暗にお金にルーズだと言うナルセ。それにピクリと反応した綱手。流石に気付いた隣に座っていたシズネは焦った。


「あ、あの…綱手様。何か注文を…」

「こんなに若く見えても五十代だからな。六代目候補も検討したほうがいいのか…」

「表へ出な、餓鬼ィ!」


堪忍袋の緒が切れた綱手がずいとナルセに体を乗り出す。シズネは悲鳴を上げ、諸悪の根源であるナルセ意に介する様子もなく箸を進める。自来也はいつか見た展開だと溜め息を吐いた。


*****


食事を終えた一同は綱手の申し出通り外に出た。綱手は仁王立ちで、ナルセは心底面倒臭そうに頭を掻きながら向かい合って立つ。


「こう見えてもこれから五代目火影になる私だ。ちんちくりんの餓鬼相手に本気もないな。コレ一本で十分」


綱手はすっと人差し指を差し出して前回同様の台詞を言う。それに対し、今度はナルセが反応して血管をぶちりといわせる。


「つーかさ、餓鬼餓鬼って言うなよ!オレはもういい歳してるんだよっ!」


ハンと鼻で笑った綱手。どこをどうみても餓鬼じゃないかと言った。

本格的に怒ったナルセは顔を俯かせ肩を震わせる。あーあ怒らせたと自来也が苦笑いをした刹那、ナルセが綱手に向かって走り出した。

思い切り右拳を突き出すものの、サッと頭を下げることにより躱される。逆に腕を突き上げられ、額当てが飛ばされた。早い。流石三忍だ。


「(で、デコピンだと!?)」


目の前に綱手がデコピンのセッティングをしていることに驚き目をぎゅっと瞑る。デコピンといえど相手はあの三忍綱手。あれを食らったら一たまりもない。今度は避けられない。


しかし、いつまで経っても衝撃が来ない。代わりに額に何か柔らかい感触を感じて目をそっと開く。

目の前には綱手の豊富な胸があった。ということは顔はオレの額辺り。キスされていると理解した途端ピシリと石のように固まってしまう。


暫く放心していれば綱手がナルセの顎を抑えていた手を離し、その手をとんとナルセの胸の上に当てた。


「いい女になりなよ!」


そう笑顔で言ってのけた綱手にナルセは苦笑を返した。


「……やっぱり気付いていましたか…」

「フン、この私を騙そうなんざ百年早いんだよ」


「…え、えぇぇぇええええ!!(ナルセくん…いや、ナルセちゃんが女の子なんて!)」


どうやらシズネは気付いていなかったようで叫び声を上げる。隣に並んでいた自来也はそれを見て苦笑いをする。


「よし、じゃあ帰るか!木ノ葉の里に!!」


無事就任決定
(じゃここは自来也持ちで)
(そりゃあ悪いな)
(ご馳走様でーす)
(え、ちょ、はぁぁああ!?)


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