星の瞬き | ナノ

  人は誰も哀れな星


オレは月だ。

太陽の光を以て輝く、偽りの光だ。彼女という地球があって初めて存在することができる星だ。

それでもオレは輝き続けなければならない。彼女に、オレがここで生きたことを誇るために。


星は愚かだ。

生まれ、輝き、瞬いて、そして消える。消えたくなければ輝かなければいいのに。

そう思えば、星はオレ達人間に似ていると思わないか。人もまた瞬いているときに踏ん張り、そして流れてゆく。

人は愚かだ。

自己の理念を突き通すために己の存在を誇示し、死んでいくんだ。

人は誰しも己の信念という魂、核を持っている。

それを出会いや別れ、感動や学業といった経験という層で包んでいくんだ。それを燃やして初めて他人に己を熟知してもらえる。


そう考えればいくら人が愚かであろうとも、慈しむに足るものだとは思わないか。



ワシには哲学など解らぬ。

人は愚かだ。だからこそ愛せぬ。それだけしか考えつかない。



はは。大切なのは何を考えるかではなく、何を考え、感じるかなんだよ


夜は優しいな。誰かが言ったよ。夜は己の弱さを見て見ぬ振りをしてくれると。

今夜は月が綺麗だ。



夜が優しいのは、たとえ暗闇であろうとも先を照らす“月”があるからこそだ。



おや、嬉しいことを言ってくれる。
オレは偽りの光だというのに。



たとえ偽りであろうとも光は光だ。それに導かれた人は必ずしも居る。



……オレは今どんな姿をしているのだろうな。

醜くはないだろうか。浅ましくはないだろうか。

だから、そんな自分に自信がなくて陰にひっそりと隠れて光を他人から見えないようにするんだ。

オレを頼りにしないでくれと。



それでも月は廻る。光はまた輝きを増していく。

それを繰り返していくだけだ。



…フ、ハハ!そうか、お前は意外とロマンチストだったんだな。



貶しているようにしか聞こえないぞ…



さて、そろそろ行こう。お前の言う通り、オレは廻らなければならない。それがオレのするべきことであり、使命なのだから。



面倒臭がりのお前が珍しいな。



仕方ないだろう。そうしなければオレ達は本当の意味での自由を得ることができないんだから。

さあ、おしゃべりはここまでだ。もう行くぞ。

偽りの光は偽りの台本とペンを持って闘わなければならないのだから。



瞬いては流れてゆく
(星は瞬き、月は廻る)
―――――
タイトルはポルノグラフィティ「ジョバイロ」より


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