一つの区切り
雨が降っている。カカシは里を抜けたナルセを追ったというサスケをさらに追っていた。匂いが消えるとナルセの後を追うことは難しくなるだろう。
パックンと共に終末の谷に到着する。
「(…遅かったか)」
そこにいたのはサスケ一人だ。横たえて目を閉じている。サスケが握っていた額当ての匂いをパックンが嗅ぎ分ける。
「ナルセのだ」
眉を下げながら教え子の傍に近寄った。サスケの目は閉じられている。額当てを胴の上に乗せて抱き上げた。
「間に合わなくて…すまなかったな…」
初めて出会った頃からサスケは随分と変わった。その中にあるナルセの面影がとても大きいのはカカシもよくわかっている。それこそ、兄のイタチと同じほどに大きいだろうことは。
なぜこんなことになったのかという疑問ばかりがカカシの脳内を占める。
終末の谷には木ノ葉隠れを創設した二人の像がある。最期まで争い続けた二人のそれは、ある意味運命だったのだろう。
この二人にも同じものが課せられているのでは、と悲しくなる。
気付けば雨は止んでいた。あれ程の豪雨だ。もう後を追うことはできないだろう。
「それより今はサスケだ。ナルセは、もう…」
「…ああ」
カカシが去った後、黒い衣を纏った男が地面から体を出した。異様な光景ではあるが、男の見た目も同じほどに異様だった。
「どうする?リーダーに伝える?」
「アア、ソノ方ガイイダロウナ。黙ッテイレバドヤサレルニ違イナイ」
一人ぼっち
(雨が傷を流す)
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