星の瞬き | ナノ

  本選


中忍試験第三の試験、本選当日。

予選と違い、ここはまるで野球場のようなドームになっている。中央は開き、青々とした空が広がっている。

観客席はほぼ満席。大名様さまもご入場。火影も風影もいる。


三代目からの馬鹿でかい声での挨拶も終え、試験官が本選の説明を行う。

本選の試験官は不知火ゲンマ。くわえ楊枝が特徴的である。そのバンダナ型の額当て、特別上忍の間で流行ってるのか?


ん゛ん、失敬。


本選ではトーナメントで変更があった。シカマルとテマリ。シカマルの相手は音忍であったはずだが、事情があり二人が戦うことになった。


サスケは遅刻。カカシ先生の遅刻癖が移ったのか?教育し直さねばな。

サスケはうちはの一族、注目が高いということで自分の試合まで到着を待つこととなった。到着しない場合は不戦勝。それでもかなり優遇されたものだ。



本選のルールは予選と同じ。

ルールは一切無し。どちらかが死ぬか、棄権するかで勝敗が決まる。試験官が勝敗が着いたと判断した場合はそこで終了。


そういうわけで一回戦。


「それでは一回戦…うずまきナルセ、日向ネジ。」


いきなり自分なんですねー





両者は対峙し、互いに睨み合う。


「ちなみに試験官、棄権は?」

「君は予選と同じく棄権を認められない」


やっぱりそうなるわけなんだよな。人権無視、人権侵害。

でもさ、観客席の視線が痛いわけなんだよ。落ちこぼれが天才と戦うなーとか棄権しろーとか。オレも正直試合をしたくないわけなんだよね


溜め息を吐いて影分身を四体作る。五方向から結構な量のクナイや手裏剣を投げつける。


八卦掌回天


全身からチャクラを大量放出させ、攻撃をいなして弾く技。


なるほど、これが例の日向一族の技かと感心する。

一度間近で見てみたかったのだ。この技を見るためだけに予選のように駄々を捏ねなかったと言っても過言ではない。


「この程度か…」


ネジは所詮落ちこぼれだとも言うように嫌満ったらしく鼻で笑う。


うーん…本気を出せば昇格してしまうかもしれないし、負けるとなるとネジに完膚無きにまで叩き潰されなければならない。痛いのは嫌だし。おそらく演技ももう使えない。どうするものやら。


分身を消し、距離をとる。するとネジはオレが考え事をしている最中だというのに目を伏せて構えを変える。


「柔拳法八卦六十四掌」


ネジが一気に迫り、オレの点穴を正確に突く。

二掌、四掌、八掌…合計64の点穴を突かれた時、ナルセの体はドサリと倒れた。

それを見た観客席にいたサクラ、いの、ヒナタ、キバは冷や汗をタラリと流す。


「全身64個の点穴をついた…お前はもうオレに勝てない、立てもしない。そう運命で定められているからだ」


勝気な声でネジはオレにそう言う。





「……痛いってば…」





むくりとナルセは起き上り、ボリボリと頭を掻く。なんてことなさそうに立っていた。それにネジは驚愕する。さらにナルセは「あ、あのまま気絶した振りしとけばよかった」などとぬかしたのだ。


失敗したなあ。あのまま倒れときゃ負けになってたのに。
後悔しても遅いか。ネジと目を合わせる。


「オレにはなーんであんたがそんなに運命にこだわるのかが分からないなァ」

「…いいだろう。聞かせてやる、オレがそう結論した理由を…日向の憎しみの運命を」


日向の憎しみの運命。
呪印の“死”という恐怖により宗家から縛られる分家。

かつて、ヒナタの誘拐未遂事件の時ネジの父、日向ヒザシの命は戦争を防ぐための取引により無残に奪われた。その時の父の死によりネジは運命というものに縛られている。


「お前はオレに負ける運命だ、絶対にな」


悲しいものだ。戦争により、命が奪われ、それに絶望し、負の連鎖は続く。
ネジと距離を取ったまま、オレは腕を組み目を伏せる。


「……運命とは一体何なのだろうな」


静かに、口を開く。思ったよりも声は響き、周りはしんとする。

ネジは聞くぐらいは、と思ったのかただオレの言葉を待つ。


「オレの生まれから境涯、課せられたものを指すのか、今オレが発する一言一言までもが決められたことなのか。人がそれを理解することなど不可能」


そっと目を開けてネジを見据える。
その白眼は一体何を見ているのか、見えているのか。


「あなたは運命という概念に憑りつかれた愚かな人だ」

「人は生まれながらに逆らう事の出来ない運命を背負っている。一生拭い落とせぬ印を背負う運命がどんなものかお前などに分かるものか!!」


愚かと言われたことで激昂したネジは、ぎっと白眼でナルセを睨み付ける。その瞳は絶望と憎しみに染まっていた。



「……分かるさ」



ナルセの目は虚ろで何も映していなかった。
一生拭い落とせないもの。それは確かにナルセに課せられていた。


「でもな、あんたはつらい現実から目を逸らし運命というものに逃げているだけだ。自分は可哀そうな人間だと、自分で自分を慰めている。」


目をネジに合わせきっと睨む。


「あんたは他人を、ヒナタを見ようとしていない。ヒナタは認められない自分を変えるために弱い自分を振り切って必死に戦ったんだ。ヒナタのほうが何倍も強いさ」

「黙れ…」

「あんた、逃げてるだけなんだよォ!!」

黙れぇえエえェえええ!!


怒りに駆られたネジがナルセに飛びかかる。ナルセは落ちこぼれとは思えないほどの速さでネジの攻撃をいなす。


「あんたに運命に抗えることを証明するには、落ちこぼれのオレがあんたを倒さなきゃいけないようだな」


ざっと構えを取る。

いつものワイヤーでは威力が少なく回天に弾かれる。だが、ネジの回天もまだ威力が小さい。大技をかければ傷を付けることが可能かもしれない。


「(九喇嘛、頼む)」

「(…いいのか?)」

「(これしきのことで気付かれるはずがない)」


カッとナルセは目を見開く。途端ナルセの体を赤いチャクラが包み込む。


「(点穴を突いたはずなのに、どこからこんなチャクラが!?)」


驚いたネジはナルセの体の中を白眼で覗き見る。その時、九つの尾を持った狐と目が合い、ぞっと恐怖した。


ナルセは縦に裂けた瞳でネジを睨みつつ、素早く印を組む。


「風遁 風狼」


風の塊が狼の形を象り襲う。水龍弾や火龍炎弾のようにチャクラでコントロールできる風遁が欲しいと開発した術だ。会場は落ちこぼれが強力な術を使ったことにどよめいた。

はっとしたネジは回天で攻撃を防ぐ。

しかし、回天で防がれるのは想定済み。狼は一頭ではない。幾匹もの狼を二回に分けて襲わせる。


「結界 千紫万紅」


波の国から改良を加え、自分の周りだけでなく対象を囲うことに成功した。

二度目の攻撃と共にネジを結界で封じ込める。結界の中では小さな嵐が。チャクラを無駄に消費させるためだ。まだまだこんなものではない。


回天により結界から逃れたネジに再度攻撃をしかける。体勢を整える暇などは寄越さない。ネジに向かい走りながら印を結ぶ。


「風遁 風切りの術」


風遁特有の切れ味により、ネジの体は傷だらけになる。ふらついたその隙を見逃すはずがない。


「ご自慢の絶対防御が霞んでるぜェ!!」
「(しまっ…!?)」


挑発的な笑みを浮かべてナルセはネジに向かって拳を握りしめる。ネジは慌てて回天を発動させようとしたが、一足遅かった。ナルセのアッパーが決まる。



吹き飛ばされたネジは思った。

反撃をする暇もなかった。
自分が信じていたものが、こんなにもあっさりとやられた、壊された。

自分はこんなにも傷だらけだというのに、相手は息一つ切れていない。



「見ろよ、運命に抗うことなんてこんなにも簡単なんだ。人には誰にでも他人に理解されることのない暗い過去がある。それを乗り越えていくかで、その人の強さは決まるんだ

呪印から逃れたいならオレが手伝ってやるよ。壮大なコネを使って解放してやるってば!抗え、逆らえ。その先に未来はあるんだ!」

「…そう、だな」


ニカリと笑ったナルセの笑顔は青い空と同じくらい晴々しいものだった。

どうやらこいつには勝てそうにないようだ。
ネジもまた笑った。もう彼を縛るものなど何もない。


「…オレの完敗だ」

「勝者、うずまきナルセ!」


「って、やっちゃったよぉぉおお!!


頭を抱えて絶叫するナルセとは反対に会場は二人の試合を褒め称える拍手に包まれた。





*****





オレの試合の次はシノ対カンクロウであった。本当はサスケと我愛羅の試合であったが、後回しに。

ブーイングが殺到しこの二人の試合に期待しようとした。しかしカンクロウは予想外にも棄権を告げた。

いいなー、ずっるいなー


その次はシカマルとテマリ。シカマルが棄権しようと考えているようであったから会場に突き落としてやった。ざまぁwww抜け駆けはさせねえぜww

が、途中でギブアップ。ま、シカマルが無理と判断するのであればもう尽くす手はないのだろう。試合で勝ったのはテマリ、実戦で勝ったのはシカマル。

むかつくが仕方ない。拳一発で我慢してやった。



その時、会場内に明らかに自然のものではない風が起こり、木の葉が舞った。

サスケとカカシ先生の登場だ。


ゲンマ試験官がサスケに名前を尋ねる。
サスケは素っ気なく答えているようで、何気にドヤ顔…サスケェ…


「…勝ったのか?」

「不本意ながら。あー、もう自分で言うのもなんだが絶対昇格するか目を付けられるわ、コレ。上忍レベルの術を公式の場で使ってしまったし……抜け忍にでもなろうかな。そうすりゃ縛られることはないし。そうかそうしようかな、あてもあるし。まず再不斬から極意をうけ「何言ってんだ、このウスラトンカチ!」 …まあ頑張りたまえ。」



軽めに直接応援をしてオレはシカマルと一緒に控室に戻る。階段を上っていたその時、話声が聞こえたかと思えばぐちゃりと肉が潰れる音が聞こえた。


我愛羅だった


突っかかって来た二人をいとも簡単に肉塊に変える。

シカマルは信じられないものを見るような目で我愛羅を見た。
オレはと言うと、特に何も感じていない目で。殺された二人に情はない。人を殺すことに躊躇いのない我愛羅にも何も思わない。


我愛羅は何もなかったかのように振舞い、オレ達の隣を通り過ぎる。シカマルがへたへたと座り込む。


「……多分、前の二人が居なかったらオレ達が殺されてたな…」

「フフン、怖気ついてやんの」

「…なぁんでそんな余裕なんだか…。…サスケ、ヤバいんじゃねえの?」


それはどうだろうか。サスケはオレの弟子だ。この一か月修行をあのはたけカカシと続けた。

それに…

うっすらと笑い口を開く。


「サスケは強いってば」





観客席には行かず、控室にて観戦。


サスケの千鳥の威力は確かに大きかった。あの我愛羅の砂をも貫くのであるのだから。相性の問題もあるだろうが、我愛羅は人柱力。そこらの下忍とは格が違いすぎる。

サスケの才能は本物だ、体術のレベルも格段に上がっている。


それにしてもあの千鳥いいなぁ…。オレは写輪眼を人前で見せるわけにはいかないから使えないけど、改良を加えてオレも使えるようにしようかな?あの速さは欲しい。いいなぁ、羨ましい

我愛羅の砂を操る術もいいなぁ。あれ使えば痛い思いしなくていいじゃないか。砂にコントロール出来るようにチャクラを籠めれば使えるかな?



サスケと我愛羅の試合を観戦している時、視界に白い羽が過ぎった。瞬間、強い眠気に襲われる。来た。大人しくやられるオレじゃない


「解!」


幻術を解き、周囲の状況を確認する。

周りには倒れて眠っている人ばかり。砂忍や音忍が木の葉の忍と戦闘をしている。

三代目のじーさんは風影に扮した大蛇丸とやぐらの上に。砂の三兄弟は我愛羅を背負い会場を抜け出す。それを追うサスケ。


始まった、木ノ葉崩し


見事幻術を破ったサクラと合流し、シカマルの元へ。

シカマルの野郎…寝た振りなんぞ許さんぞ…
ムカついたからふんずけてやった


背後に人の気配がしたが手は出さなかった。ガイ先生が来ると分かっていたからだ。ガイ先生は敵の音忍を豪快に蹴り飛ばし、そのまま壁に穴を開ける。

あれ絶対何本か骨いっちゃってるよね?…御愁傷様
チーンと合掌する。


見ればカカシ先生が。ぼーっとし過ぎたようだ


「では任務を言い渡す!聞き次第その穴から行け。サスケの後を追い合流してサスケを止めろ!そして別命があるまで安全な場所で待機!」


どうするものか。
このままカカシ先生の言うことを聞くのもいいが…

影分身をぽんと一体作り上げる。


「お前はサクラとシカマルと共に行け。我愛羅をぶっ飛ばすなりなんなりしてオレの元へ連れてこい。オレが直接説教してくれる」


分身は了解と返事をする。


「九喇嘛、お前も共に行け。いざという時は手段を選ばなくていい」


本体のオレの影からぬっと九喇嘛が顔を出す。鋭い眼光でオレと分身を見定めて分身の足元にすり寄る。他の人たちは急に現れた九喇嘛にぎょっとしていた。

オレは変化をして前世の姿に。こちらの方がリーチもあるし、動きやすい。


「ナルセはどうするのよ!?」

「オレは三代目の元へ行く。サクラ、シカマル気を付けて行けよ」


カカシ先生やサクラが後ろで何やら言っている。
後ろ目に二人が穴から出て行くのを見て、自分も瞬身でその場を発つ。



始まった木ノ葉崩し
(試合に勝っちゃうとか……)

―――――
て、展開はえー!管理人っす
なんかこう…ぱっとしないんだよね。短すぎる気がするような…。

まったく文章力が上がりません!ババーン!

ま、仕方ないよね。熱い展開を求めるなら原作を読んでってね←
ではまた今度


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