星の瞬き | ナノ

  死亡後の希望は


体がやけに重く感じる。

例えるならば、風邪をひいた時の体のだるさに便秘の時の独特の不快感が合わさったものだろうか。

要するに何が言いたいかというと…





「コンディションは最悪ってことだよおぉぉぉおおお!!」




かばりと起き上がって周りをはばからず舌打ちをする。

気分が悪いことが原因で目が覚めるとはとても不愉快である。ただでさえ、最悪な眠りだったというのに。


「…あれ?」


確か自分は死んだはずである。学校からの帰り道、信号待ちをしていたときあのふざけた軽トラに殺られたはずだ。


本来どこぞのヒロインのように猫を庇ったりなんなりして大型トラックに引かれて泣きながら「良かった、あの子は無事なのね…」と言いつつ眠りにつくのが望ましいが、残念ながら私はそんな輩ではない。

家に着いたらまず録画したアニメを見て、そのあとサイト巡りをして、某動画サイトでニヤニヤしようと計画を立てている最中に殺られたのだ。

まっこと不愉快である。



とりあえず現状確認である。

服に破れ、汚れがない点から、恐らく現実ではないようだ。

そりゃあまあ、あんだけ自分の血がついてたら、ねえ…



次に場所の把握。少々視界が暗いが、まあ大丈夫だろう。

ばんばんと足元を叩いてみたところここは地面が広がっているところのようだ。

周りを見渡せば、シルエットから判断するに木、木木ばかりである。三つ合わさって森ってか?


だが残念。

家及び学校の周りにはこんな場所はない。山ならあるが平地にこんなに木が生えているところを私は知らない。

引きこもりなめんなよ

とにかく私の知る範囲ではこんな場所知らないのである。



はっ!まさか誘拐か!?

こんな一般家庭の娘を拐っても、何のメリットも無いぞ!!うちにはそんなに蓄えが無いんだ!!


そんなこんな混乱している時、大きな地響きがした。

地震か!?

はっとキョロキョロすればやたらでかい怪物のシルエット。一度死んだというのに、なんてフラグだよ。

とりあえず三十六計逃げるが勝ちだな。

よしと意気込んで一歩踏み出せば浮遊感。


「お、おぉぉぉおお!?」


 

*****



「痛たたた……」


所変わって今度は一面真っ白な空間。

前を向いても右を向いても左を向いても後ろを向いても、下を見ても上を見ても白シロしろ

あれだよね、暗い所も怖いけど、何もないっていうのもある意味怖いよね。


ところでここはどこだ?

もしやこれから閻魔様と面談をして、天国か地獄かのジャッジをするのか!?

うわ、地獄には行きたくないわ。

もしかして、母さんのお菓子をつまみ食いしたのがばれてるとか?
学校を仮病でさぼったのがばれてるとか!?
姉の漫画を勝手に読ん「君はどれだけ小さい罪を気にしているの…」


突然の声に肩が跳ねる。ばっと距離をとって警戒態勢に。


「…初めまして。名前を伺う際は自分から。ナルセです。…あなたは?」

「丁寧な子だね!ボクは神様だよ☆」


きらきらとした期待した目でこちらの反応を伺う青年A。


「………厨二b「違うから!本当に神様だから!!やめて!そういう可哀そうな子を見つめる目をするの!」


少々訝しんで青年Aを観察する。

周りと同化しそうな真っ白なシャツに青いジーパン。若干涙ぐんだ黒目に背景とは真逆の色をした髪。


「…で?その(自称)神様が私に何の御用で?」


私がそう言えば、よくぞ聞いてくれましたとずいと身を乗り出す(自称)神様。


「君、ここに来る前にどこか別の場所にいなかった?あ、君が死んだ場所とはまた違うところでね☆」

「ああ、そういうことならなんだか怪物を見ましたよ」


それが何か?と首を傾げれば、それだよそれ!とビシビシ指を振る(自称)神。


「どうやら君の魂が肉体と分離した際、本来と関係ない場所に迷い込んだみたいでね

そもそも生命はその命が尽きる際、肉体と魂が分離し、肉体は元いた世界で分解され、魂はボクらが処理するんだ」


ここまではいい?と確認をとる(自称)神

まあまあ納得できる。だが、私の魂は?


「そう。ここで問題が発生するんだ。君の魂は処理を行う前に別の世界に迷い込んでしまった。そのおかげで迷い込んだ世界に影響が出てしまってね。

そこで君にあることを課せたいんだ」

「はあ、それで?」


私がぼそりと呟けば、むかつく顔をにんまりとさせ、口を開く。


「転生して「お断りします」 ちょ!最後まで言わせてよ!

とにかく君に拒否権はないから!!」


はいぃい!?

ちょっと待て、納得ができない!
さっきから私のことを置いて行かれている気がする!

ぐるぐると頭の中で思考が渦巻く。


「ま、とにかくさくっと旅立っちゃって

あ、それからボクらを楽しませて欲しいからいろいろ特典付けちゃうよ♪「は?」向こうに行ったら好きにしていいから「ちょ、まっ!」じゃ、いってらっしゃーい☆」


ひらひらと手を振るくそ野郎に殴りかかろうとすれば再び感じる浮遊感。


ちょっと待て!私には死んだ後にもしたいことがあったんだ!!



友人の守護霊になることなんですけどぉ!?
(絶対あいつぶっとばす!!)


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