星の瞬き | ナノ

  真意が明るみに


再びアジトに潜入したカカシ班。最初に決めたツーマンセルでナルセのいる部屋を探して走る。

一つ部屋を見つけるとその部屋の扉を開け、誰もいないとわかると次に向かう。一つ開け、また一つ、また一つと探った部屋は増えていく。自然と足の速さが増していった。


長いこと走り続けていたから汗が浮かぶし息も切れる。サイは必死に走るサスケの背に兄の面影を重ねた。

廊下の壁に寄りかかって座り、一時の休憩を取る。サイはそこで小話をと絵本を取り出し口を開く。


「君は兄さんに少し似ている。君のように何かするのにいつも必死だった。君を見ていると何だか兄さんのことを……」


突然黙り込んだサイは目を見開いた。そしてカバンの中から墨と筆を取り出し絵本に描き込んでいく。


「思い出した…思い出したんだ…」

「それは…」


絵本の中央に描かれたのは二人の少年の笑顔。手をつなぎ仲良く笑っている。


「兄さんに見せたかった、二人の夢の絵を…」


サイは照れたように眉を下げてはにかんだ。それを見たサスケの口元も綻ぶ。

そんな中廊下に足音が響いた。自分達は今座っているはず。では誰が。すると廊下の先の暗闇の中から大蛇丸がやって来た。


「さて、サイ。あなたはどちら側につくのかしら?」


袖から現れた二匹の蛇をバックステップで避ける。やはりそちら側なのかと大蛇丸は言った。


「ここはオレが引き受ける。お前は行け!」


でも、と躊躇うサイに早く行けと後押しした。サイは頷き走っていく。

チャクラを練ればヤマト隊長が異変を感じ取りこちらに向かって来るはずだ。それまで時間を稼げればいい。

サスケは刀に手をかけた。刀に千鳥を流す。蛇の頭を切り落としながら傷を負わないように攻撃を避け続ける。

すると目の前を大木が横切った。


「また大蛇丸か…」


ヤマトが到着したようだ。早い合流で助かる。

フンと笑った大蛇丸であったが何かを気取ったように眉を寄せた。


「サスケくん、君はまだ生かしてあげるわ。そうしないといけない理由がこちらにもあるの。それより私はサイの方に用があるから。これで失礼するわ」


そう言うと大蛇丸は瞬身で去っていった。

ほうとサクラは安堵の息をつくが、ヤマトがサイの姿がないことに気付いた。サスケがサイにナルセの捜索を任せたと伝える。


大蛇丸より先にサイを見つけなければならない。どうするべきかと思案する中、サクラがサイの絵本を見つけた。中央のページを見てサクラは微笑んだ。笑ってる、と。


ヤマト隊長が置き去りにされたサイのかばんに気付く。何か手がかりをと中を探ると一冊の黒い本を見つけた。


「こ、これは…!」

「どうしたんですか?」


ヤマト隊長が手に取って二人に見せるのは先程の黒い本。この本は暗部の者が持つ暗殺リスト、ビンゴブックとも呼ばれるものだ。

中を開けばたくさんの情報が載っていた。顔写真、氏名、特徴、出身国など。

サクラが×印を指して尋ねる。


「この×印は何なんです?」

「これはおそらくターゲットをすでに抹殺したという印だろう」

「なんでそんなものをサイが…」


難しい顔をしながらヤマト隊長はページをまくっていく。そしてあるところで手を止め、目を見開いた。


「見ろ!」


突然手を止めたヤマト隊長を首を傾げて見ていた二人にそのページを見せる。


「こ、これって…!」

「サイの暗殺リストにナルセの名前が…」


ヤマト隊長が見せたページには里を出た頃のナルセの写真があった。暗殺リストにナルセの名前が載っていることに二人は驚きを隠せない。

まだ×印がついていないそのページを見てヤマト隊長は独りでにそうかと納得する。


「サイ、あいつの任務は大蛇丸とダンゾウのパイプ役になることなんかじゃなかった。本当のサイの極秘任務は…」


ナルセの暗殺だったんだ


本当の極秘任務
(騙して、欺いて)


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