星の瞬き | ナノ

  人は変わるが


「残念だけどサイ、君はここで分身の僕に見晴らせておくよ」


アジトの外部、そこにサイを連れ出しヤマトの木遁でサイは拘束されていた。


「そろそろ行くか…」

「…止めた方がいいよ」


サスケの様子を見たサイが口を挟んだ。少し間を置いてサイは続けた。


「ボクは、ナルセくんに会った」


その言葉に二人は息を呑んだ。

ナルセには常に大蛇丸がついているはずだ。すなわちもう一度大蛇丸とやり合うことになる。深追いすれば実験体になるのがオチだ。


「それに…あの人は里に思い入れがないって言った」


きっとその様子では里の人間にすら興味がないのだろう。サクラはサスケがナルセのことを兄弟の様に思っていると聞いた。だが彼の関心はこちらに向いていない。


「そんな彼の事を君はどうして、あの大蛇丸に歯向かってまで、命を懸けてまで連れ戻そうとするんだ?…なぜなんだ?誰に命令されているわけでもないのに…」

「そんなこと、どうでもいい」


サイはサスケの表情を見て目を見開いた。何とも言えない顔をしていた。


「あいつはオレのために何だってしてくれた。友がいなければ友になると言い、家族がいなければ自分が家族になると言い。時間が欲しいと言えば自分の時間を分け与えた」


自分の実の兄と同じくらい尽くしてくれた人だ。


「ナルセは、オレのつながりだ」


無数に広がる絆の一つだ。それを守り通すために自分達は動く。サクラにもその覚悟はあるのか、互いに頷いた。


「……つながり」


今まで見たことのない人との関係性にサイは驚くこととなるのだ。


「見張りを作ったら行くよ」


ヤマトが印を結んでサイに近付こうとした時何かの気配を感じた。三人はすぐさま後ろへ退避する。先ほどまでいた場所にクナイが撃ち込まれていく。

サイの前に現れたのはカブトだった。尾行は撒いたと思ったんだが、と言う。


「サイ、その様子からすると、君は捕まったようだね」


頭上からのサスケの攻撃をカブトは一歩動くだけで避ける。サイはカブトを見上げる。カブトは無駄だと言った。


「無駄かどうかはまだわからない」

「違う。そっちの話じゃない」


カブトの木遁の術をサイの体を掴んで軽やかに避ける。サクラが木を登り、拳を振った。カブトには避けられてしまったが背後の岩を叩き割る。

岩の中にはハチの巣があった。スズメバチがカブトを襲う。最初は鬱陶しそうに振り払っただけだったが、結果はハチを全てチャクラメスで切り殺した。


カカシ班のメンバーを見る。流石に三対一では分が悪い。運も向こうについているようだ。サイを見て笑った。


「裏切ったわけじゃなさそうだから、ここは信じよう」


サイの拘束具をチャクラメスで切断する。サイは腕を摩って立ち上がった。カブトはカカシ班に向き直る。


「まったくあんた達を見てると、ほんとに憐れだよ。人は変わる。ナルセくんはもう昔のナルセくんじゃないんだよ」


サスケがカブトのことを睨んだ時、カブトが地に伏せた。一体なんだと後ろを見れば先程カブトが助けたはずのサイがカブトを取り押さえていた。

サイの任務は大蛇丸とダンゾウのパイプ役になること。どうして、とカブトはサイに問う。


「人は変わる…ならボクもそうだ。…でも変わらないモノもある」


サイはサスケのことをまっすぐに見つめた。


「…つながり…それを確かめたいんだ」


任務ではなく自ら。サイは己で行動を選択したのだ。


変わらないものも
(知りたいと思った)


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