星の瞬き | ナノ

  消えない呪い


「ナルセちゃんのことが知りたければ力尽くで私から聞き出してみなさい。できれば、だけど」

「うぁあ゛アぁァあッ!!」


激昂に駆られたサスケは千鳥を発動させ大蛇丸に向かう。自分でも威力を制御し切れていないのか、雷はサスケの腕をも傷つけていく。


「写輪眼。今の私にとっては価値のないもの。あの子がいる限り」


大蛇丸の言葉は今のサスケにとって挑発のようにとれたのか、雄叫びを上げて大蛇丸に突っ込んでいく。


「サスケ!少し落ち着くんだ!」


ヤマトが木遁の術でサスケを拘束した。力で無理やり押し進んで行こうとしても木がまとわりついてくるばかりである。

大蛇丸がその術を見てまさか、と呟いた。


「なるほど、それであなたがここにいるのね。私の実験も少しは役に立ったじゃない。木ノ葉にはもう少し感謝してもらいたいわ。ねぇ、私のかわいい実験体さん?」


大蛇丸の言葉にサクラ、カブトはヤマトの方を振り向いた。


「実験体…?この方一体何者です?」

「全忍の中で唯一木遁忍術を使い、さらに尾獣を意のままに操る事ができた初代火影の力が欲しくてね」


クククと大蛇丸は笑った。

かつて大蛇丸は初代の屍からその中の遺伝子情報を取り出し、遺伝的素質を六十体の子供の細胞に組み込む人体実験行ったことがあった。しかし拒絶反応が酷く、実験体は全員死んでいった。

そろそろ見切りをつけようかと思った矢先、別の実験で足がつき大蛇丸は木ノ葉を抜けることとなった。そのため実験施設はそのままで。


「全員死んだと思ってたけど、まさか生き残りがいたとはね…」


その発言でサクラとサイはヤマトの謎について納得した。


「なるほどね。では長年のかつての研究の成果とも言えるサンプルが手に入りそうですね」

「そんなことより今は私のナルセちゃんがどれほどの強さか、試しに目の前のサスケくんとやらせてみたいわね」


落ち着いていたはずのサスケが怒りでチャクラを爆発させた。


「このゲスがぁああぁアあ!!」


禍々しいチャクラが放出される。黒くおぞましい色をしている。首筋から黒い模様が蠢いた。


「これって、中忍試験の時の…!」

「その呪印、まだ残ってたのね」


ハハ、と笑ったカブトがチャクラメスを生成してサスケに向かって走った。しかしそれもサスケが腕を振り払うことで体が飛ばされる。

飛び跳ねたカブトの体はサクラに衝突し、サクラは頭を強く打ち付ける。カブトは後方の森の方へと飛んで行った。


「まさか、こんなものを秘めてるなんてね…」


体を何とか起こしてカブトは感想を述べた。ナルセにも負けず劣らず重く強大で、邪悪なチャクラ。数年前につけられた呪印が解放されただけでこうなるとは。


サスケが引き起こした衝撃により橋は崩れ落ちて行く。サクラは頭を打ったことにより意識がなく、崖へとまっさかさまに落ちて行った。それをサイは救出しようとせず鳥に乗ってどこかへ飛んで行った。


「呪印があってもその程度…まだまだみたいね」


サスケと対峙する大蛇丸は嘲笑うかのように言った。


*****


サスケと大蛇丸の二人が入り込んで行った森の中では幾度か大きな爆発が起こる。


「人柱力として完璧なナルセくんにサスケくんが敵うわけがない」


森の中からカブトが出て来ながら感想を口にした。眼鏡を指で押し上げながら意地悪く笑う。


「どんなに頑張ってもナルセくんには追いつけないんだよ。それなのにただひたすらに力を求めて…憐れだねぇ」

「黙れ!あんたに、あんた達に私達の何がわかる!」


とサクラが叫んだ時、橋の隣に誰かが飛んでぶつかった。大きな砂埃が起こる。その中にいる姿を見つけてサクラは小さく悲鳴を上げた。ほら見なよ、とカブトは言った。


「あんなにボロボロになってまで君達が求めるものって、そんなに大事なものなのかい?」


サスケの体は満身創痍で、至る所に傷ができていた。呪印が徐々に引いて行く。


確かに大事だ。大事なことなのだ。この二年半、ただその思いを抱いて修行してきた。ナルセを救いたい。ただそれだけのために。

けれど、とサスケを見る。これ以上サスケくんが傷つく姿を見たくないのも本当。何をどうすればいいのかわからなくてサクラの胸は痛んだ。

ぽとり、と一粒の涙が地面に落ちる。


「努力だけではどうにもならないことだってあるのさ」


そろそろ大蛇丸様も限界のはずだ。そう思いカブトは瞬身で去っていった。

サクラは涙を流し続けてサスケの治療を始めた。


蝕む
(呪いのような絆)


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