星の瞬き | ナノ

  闇の中の秘密


「ボクはダンゾウ様の遣い、敵ではありません。アナタにお話があります」


大蛇丸とサスケとの戦闘後、大蛇丸の元にサイが現れた。第七班を置いていつもの笑みを浮かべている。

墨分身を見破った大蛇丸に対して警戒を強めたサイは地面の中から現れる。話を聞こうと言った大蛇丸にサイはダンゾウの言伝を伝える。


「実はダンゾウ様はあの木ノ葉崩し以来、大蛇丸様との接触の機会をずっと切望されておいででした」


サイはそこからさらに伝えるべきことを話し続けた。以上です、と締めくくる。

その根拠は何かと問う大蛇丸にサイは左手で背のカバンを探った。その瞬間サイの背後からカブトが飛び出しサイを押さえ付ける。カバンの中身が飛び散った。


どういうことですか、と言ったカブトに大蛇丸は落ち着きなさいと宥めた。そんな中サイがそこの封筒を見てくださいとお願いする。ダンゾウから大蛇丸に向けてのものらしい。

中身を確かめた大蛇丸は「これは…」と呟いた。それほどのものが入っていたのであろう。


「あの子もそろそろ到着しているであろうし。サイとやら、じゃあ行こうかしら」


未だに警戒の色を帯びたカブトに対しにこりとサイは笑った。

大蛇丸の部下になると言うサイ、それを影から見張るヤマト隊長の分身。大蛇丸は二人を連れて去っていった。


*****


三人の尾行を続ける分身、それを追うヤマト隊長、サスケ、サクラ。二人はサイが裏切ったことをヤマト隊長から聞いた。

先程まで三人がいた場所に向かう。そこにはサイの荷物が散らかっていた。サイの絵本を見つけたサクラがそれを拾い上げる。温泉地で見たものだ。


サイが裏切る理由。それにサクラは心当たりがあった。出発前の綱手との会話。


「ヤマト隊長はダンゾウって人のこと…」

「知ってるよ。かつて三代目火影と対立したタカ派の男」


サイの上司でもあり三代目の意思をよく思っていない。ダンゾウはサイを使って何かしようとしているのか。


「もしかするとサイはそのダンゾウから僕らの隊の任務とは別の、なんらかの極秘任務を命ぜられていた可能性もあるな」


ということはサイはこの任務を利用して大蛇丸との接触を図ったのだ。

そこからヤマトは少し強引な推測をしてみると言った。心して聞くようにと。


「ダンゾウは、今の木ノ葉を潰す気かもしれない」


現在の三代目の意思を引き継いだ木ノ葉の体制を崩し、自分が上に立つため。それを崩すためには里全体を揺るがすような出来事が起こらなければならない。それこそ三年前に大蛇丸が起こした木ノ葉崩しのような。


「自分が火影になるため、か」


自分の思うような里を作り上げるために。

ダンゾウがあれから三年も待ったのはそろそろ大蛇丸の戦力も十分整ってきているからであろうと予想と立てたから。もしくは慎重になっているであろうから、自分が内部から協力すると持ちかけるため。


「つまりサイの極秘任務は…ダンゾウと大蛇丸のパイプ役、か」


事と場合によってはサイを始末しなければいけない。

ヤマトの木分身が今サイを追跡しているらしい。躊躇う暇はない。今すぐに出発することとなった。



カブトがサイの死体を偽装し、それが偽物と見破るヤマト隊長の分身。追いかけっこは続く。



カカシ班が森を駆け抜ける中、一旦休憩を取ることとなった。

サイが抜けた以上ヤマトとバディを組むのはサスケとなる。連携のパターンの話し合いのために二人はサクラから離れたところで話を始める。


「さてサスケ、少し話がある。その首元のものは何だい?」


ヤマトがサスケの首を指差して問う。サスケは苦い思い出を思い返し、首を抑えて若干俯いた。


「昔…大蛇丸につけられたものだ」


三年前の中忍試験の際、ナルセが気絶していた中つけられたものだ。何度か暴走することもあった。

さっきもあった。橋を破壊し、森を破壊し。まだ呪いが完全に抜け切っていなかったのか。なぜ完全に消え去っていないのか。心当たりがあるのかと問われれば、ある。

呪印は力だ。邪悪なものであれ、それは強大なもの。かつてひたすらに求めた力そのものだ。けれど今はもう


「里に帰ってカカシか自来也に封印術を施してもらう」


こんな方法で力を手に入れたいわけじゃないのだ。自分自身の力が欲しい。

サスケの考えがわかったのかヤマトはそうか、と頷いた。


「封印術なら四代目を頼るといい。四代目は封印術に長けた人だ。きっと今度こそ抑え込めるはずだ」

「…ああ」


*****


大蛇丸とカブトサイは川の岸にいて休憩していた。顔を洗い、水分補給もする。


「カブト…そういうのは帰ってからにしなさい」


岩の上に座ってそう言う大蛇丸。カブトは川の水で医療道具を洗っていた。器具に付いた血を丹念に落としている。


「いえね、なるべくすぐに血を落としておかないと切れ味があっという間に落ちてしまうんですよ」


サイは濡れたままの顔をタオルで拭き、リュックに仕舞おうとする。

その時リュックからあるものが無くなったことに気付いた。きっとカブトに押さえ付けられたあの時だ。


「どうかしたの。サイとやら?」

「いえ…何でも…」


サイの様子を見た大蛇丸は何か感じたのか「そう」とだけ呟いた。


「それより大蛇丸様、帰ったら無傷の男の死体を、早急に一つ頂けますか?」

「まだストックは持ってるでしょ?」


そう言った大蛇丸にカブトは巻物を広げて見せる。「男」と「女」という文字に口寄せの術式。
 

「ええ。ただ、十五・六歳の男の死体はさっきので無くなりましたから、巻物の中は常に年齢順にきちんと保存しておかないと落ち着かなくて」

「カブト、アナタA型だったかしら?」

「いえ、AB型ですけど」


意外ね、と大蛇丸は感想をこぼした。


「ではそろそろ行きましょうか。アジトまでもう少しですからね」


他人の知らぬうちに
(暴かなければならないものもある)


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