星の瞬き | ナノ

  心の入れ替えは@


うずまきナルセ。九尾を封印された子供。その子が在籍するクラスの新しい担任に中忍うみのイルカは就任した。

イルカの両親は昔、九尾の事件にて殉職した。木ノ葉の里の忌まわしき事件である。そのためイルカもナルセを敬遠する人間の一人であった。


「イルカ先生、ナルセの担任になるそうですな」

「ええ、三代目に頼まれて仕方なく…」


それは酷い貧乏くじを引きましたね、と同僚の先生に言われた。これからどう接していけばいいのか、見当もつかない。


「ナルセは、まぁ適当に扱えばいいんですよ、てきとーに。何を言おうが反抗してきませんからね」


はははと笑いながら同僚の先生は去っていった。

適当。人柱力のナルセに対してはその態度が適切なのかもしれない。そう思いながらイルカは教室へと向かった。


「おはよう。まずは自己紹介からだな。今日から君達の担任になったうみのイルカだ」


自己紹介をしてクラスを見回す。問題の子供は教室の隅にいた。金の髪に青い瞳、青い縁の眼鏡。

オレが話をしている間も膝の上に乗った狐を撫でながら、ぼうとどこかを見ていた。イルカに興味なんてない。全ての物事に興味がない。まるでそう言っているようであった。


ナルセは成績優秀とは言えないが、授業態度は至って真面目。問題も起こさない。傍から見ると手のかからない生徒だった。


「今日の実習は手裏剣術だ。手本は、そうだなぁ…ナルセ、やってみろ」


未だ見たことがないナルセの手裏剣の技に興味を持ち、手本にナルセを指名した。途端他の生徒からはブーイングが殺到する。ナルセは頭をかきながら前に出た。


「あの…イルカ先生。オレってば手裏剣が苦手なんすよねぇ。だからどこに飛んでも勘弁してくださいね?」

「実力を見るだけだから安心しろ」


表面上笑ってナルセを安心させた。後ろでは非難が集中しているが、ナルセはえへへと笑いながらポケットから手裏剣を取り出す。

ごくりを唾を呑んだ。なぜかはわからないが緊張が走る。さっと空気が切れる音がした。恐る恐る隣を見るとすれすれの位置に手裏剣が突き刺さっていた。


「あ、あははは…ほんとごめんなさーい!」

「ギャハハハハ!ナルセの下手くそ!」

「とっとと隅っこにいてろ、バーカ!」

「後ろにも飛んでるぜ!どんだけ下手なんだよ」


ナルセは失敗を誤魔化すようにはははと笑い続けた。だがイルカは冷や汗を流していた。


「イルカ先生。後ろに飛んだ手裏剣、拾ってきまーす」


見えなかった。ナルセが手裏剣を投げるスピードが。アカデミー生のレベルなんかじゃない。

恐怖を殺しつつイルカは次の手本にサスケを指名した。ナルセの時の反応と違い主に女子生徒から黄色い声が上がる。サスケは何枚もの手裏剣を見事全て的に命中させた。

これが正しい光景だ。これが――



「何かご用で?」

「新しい担任はどうじゃ?」

「ハッ、わかりきったことを今更。そんなことのためにわざわざ来ないでくれ」



それからの授業ではあの妙な違和感を感じることはなかった。全ての成績において順位は中の下。内申は良好。

ただし他の生徒からのイジメに関してはイルカは目を瞑り続けた。



*****


ナルセは時々アカデミーを休むことがあった。早退、遅刻、もしくは丸一日。

誰か理由を知らないかと生徒に尋ねても知らない、わからない。それしか返って来ない。ナルセ本人に理由を聞こうにも「先生には関係ないから」としか。

深く尋ねることなどできない。親の仇がその体に封印されていると考えるだけで他の生徒と同じように接することができなくなる。


だがそんなナルセに近しいクラスメートが一人いた。うちはサスケだ。

ナルセとサスケ。互いに家族がいない状況、何か惹かれあうものがあったのかとサスケに訊いたことがあったが、アカデミーに入学する前からの友人だったらしい。


サスケと共にいるナルセはよく笑っていた。イルカの見たことがない笑顔だった。

よく見ればサスケに対して見せる笑顔と他のクラスメートに見せる笑顔は別物だった。何がどう違うのか、うまく説明することはできないがとにかく違うのだ。



そんなイルカと同じ考えを持った生徒がクラスに一人いた。奈良シカマルである。

何がどれくらいかイルカと同じく詳しくは説明できないがナルセは何か隠している。そう感付いていた。


「(しっかしまったくわかんねぇな…ん?)」


シカマルとチョウジが商店街を歩いていた時のことだ。一つの野次ができていた。何事かと中央を覗くとシカマルを悩ませている張本人のナルセとサスケがいた。


「テメェ…この疫病神が!!」

「ナルセ!大丈夫か!?」


店主に突き飛ばされ尻餅をついたナルセはどこからか石を投げられた。頭を切ったのか額から血が流れている。


「大丈夫…このぐらいすぐ治る。行こう」


シカマルは幼心ながらに恐れた。大人達の目の色を見て。


「三代目はいつまで里に置いておくつもりなの」

「ちっとも反抗しねぇ…気味が悪い」


アカデミーの子供による悪戯とは格が違う。こんなのおかしいじゃないか。

なぜ大人達はこんな仕打ちを当然のように見ている?



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