星の瞬き | ナノ

  旅立ちの決意


サクラとの約束は守れなかった。けれどまだ機会はある。夕暮れの中の病室で一人サスケはそう思った。

けどそのために何をすればいいのか、悩んでいる時だった。突然地響きが起き、サスケは飛び起きてカーテンを開けた。


「お前がうちはサスケ、か?」


何度かチラと見かけたことのある顔にサスケは小さく頷いた。三忍である自来也だ。ナルセと共に五代目を迎え入れに行ったという。


「今日はお前に大事なことを言いに来た。サスケ、お前わしに弟子入りしないかのォ?」

「なんで三忍のあんたが…」

「もしその気があるなら、三年かけてお前を一人前の忍に育て上げる」


「三年…」とサスケが年月を繰り返した。

伝説の三忍の一人、自来也からの提案はサスケに取って悪いものではない。むしろ自分から懇願したいほどだ。しかしサスケには条件がある。


「そんな時間はない。ナルセの体は…」

「どうやら大蛇丸がナルセの体を求める理由を知ったようじゃの」


自来也の言葉にハッと顔を上げた。なぜそのことを。サスケの顔に書かれた問いに自来也は微かに笑った。


「ワシはずっと大蛇丸のことを探ってきた。やつの【不死の術】。次にナルセの体を器にするまで三年以上の時間が必要じゃ」

「…なぜそんなことが言える」

「やつの不死の術は三年以上の間をあけなければ次の体に転生する事はできない。それに、やつはナルセを待ちきれず最近転生したばかりだ。今から三年間は大丈夫だ。時間はある」


「確かなんだな?」と確信を求めるサスケに自来也は強く頷いた。ならばまだある希望が、さらに膨れていく。


「一つ忠告しておく。…ナルセのことを、諦める気はないのか」

「そんな気はない。あいつはオレの、オレ達の仲間だ」

「今の自分の姿を見て同じことが言えるのか。“仲間”が自分のことを傷つけるのか!」


自来也もかつてはサスケと同じような経験をしてきた。大蛇丸が今のナルセだ。苦しみ、残ったのは己の無力さ。そして後悔。同じような惨い目に合わせたくはない。


「本当に非道な人間が…傷つける時に泣きそうな顔をするのかよ…ッ!」


サスケが振り絞った答えはそれだった。終末の谷での戦いを思い出す。たとえ誰が何と言おうと、あの時のナルセは泣いていた。自分だけはそう断言してみせる。

無言のまま聞いた自来也はその答えを聞いて満足げに笑った。急に何か、と睨むサスケに、諦めるようならこの話はなかったことにするつもりだったと言う。


「実を言うと、のォ…この弟子入りの件はナルセから頼まれたことでな」


思わぬ言葉にサスケは目を丸くした。わかりきっていたサスケの反応に自来也はうんと唸る。


「里抜けするような理由もあるが、里を抜けるにしてはおかしな行動が目立つ。あいつの考えがいまいち読めん。もしかすると…希望が持てるかもしれんのォ」

「オレは……強くなってみせる…!」


その後、サスケはすぐさま自来也と共に修行の旅に出て行った。

サスケを見送ったサクラもまた行動をすぐに起こした。時間は待ってくれないのだ。とある扉を緊張しながらノックする。


「入れ」

「失礼します。綱手様、お願いがあって来ました」


決意、そして覚悟
(もっと…誰かを守れる力が)
(もう足手纏いにはなりたくない)


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