刹那 | ナノ


鶴丸の日記




6月某日

今日は本丸の庭に落とし穴でも掘ろうかと出掛けたが、何やら俺が来る少し前から騒がしかった。
確か今日は、薬研率いる第四部隊が遠征から帰ってくる日だったはずだ。

庭に行くと、曉に一輪の花を手渡している薬研の姿があるじゃないか。
ヒヤかしてやろうかと近づいたが、一歩踏み出すと俺の手は後ろへ引かれ、近くの茂みに引きずり込まれてしまった。燭台切だ。
長谷部風に言うと、これが「主命」らしい。後ろでは主が薬研と曉を見ながらニヤニヤしていた。何をやっているんだこの主は。

他に驚きはないかと辺りを見回してみたら、あったじゃないか驚きが。
曉と薬研の方へ今にも飛び出していきそうな加州と、それを押さえる大和守と和泉守。これには俺も驚いた。
というか、薬研と曉はこの状況に気づいているのだろうか。薬研は確実に気づいていたな。

その時、和泉守の「あっ!」という声と共に、加州が飛び出していった。
自分の本体である刀を抜き、斬りかかる。……曉に。あれは完全八つ当たりだ。
その後、曉と加州の言い合いに発展したのは書くまでもないだろうな。
同じ第四部隊だった獅子王に聞くと、薬研が手渡した花は、遠征の帰りで見つけ、曉のためにとっておいたものらしい。
さすが薬研、八つ当たりする奴とは大違いじゃないか。
まあ、主は曉と加州のことを、「ツンデレ×ツンデレ」と言って楽しんでいたが。

落とし穴でも作ろうと思っていたが仕方ない。ここは若い連中に気を使ってやるか。
さて、明日はどんな驚きが待ち受けているかな。
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