アナグラへ戻ると、サカキ博士の講義が始まった。
私と同じ新入りで、適性試験のときに一緒だった少年、藤木コウタも一緒だ。
が、眠い。
オウガテイル討伐の直後にこれってさすがに鬼すぎる。
現にコウタもあくびをしているし。
エントランスに戻ると、新しい任務がきていた。
今度は、「橘サクヤ」という人が同行してくれるらしい。
……リンドウさんが腐れ縁とか言ってた人か。

出撃ゲートから出ると、そこはとても天気が良いとは言えなかった。
風は強く、エリアの中心には巨大な竜巻が渦を巻いている。
……これで命を落とした人も多いんだろうな。

「この前の新人さんね?わたしの名前は『橘サクヤ』。よろしくね」
「……フィニリオン・ラティウスです。よろしくお願いします」

私はがぶっきらぼうに言うと、「ちょっと緊張してる?」と背中を叩いた。
リンドウさんほどではないが、さすがに少し痛い。
ゴッドイーターすごっ!

「肩の力抜かないと、いざというとき体が動かないわよ」
「そーですね。じゃ、そーすることにします」

私はその場で両手を挙げ、思い切り伸びた。
もう先輩が居ようがお構い無しだ。
するとその時、近くでアラガミの鳴き声が聞こえた。
高台から下を見て見ると、数匹のコクーンメイデン。

「さっそくブリーフィングを始めるわよ。今回の任務はキミが前衛で陽動。わたしが後方からバックアップします。遠距離型の神器使いとペアを組む場合、これが基本戦術だから覚えておいて。くれぐれも先行しすぎないように。後方支援の射程内で行動すること。OK?」
「わかってますよ、サクヤさん。じゃ、行きますよ」

そう言って私は高台から飛び降りた。
今回の相手はコクーンメイデン2体。
これ、2手に別れた方がいいんじゃないかと思ったが黙っておいた。
それにしても、コクーンメイデンほど討伐が簡単なアラガミはいないと思う。
コクーンメイデンは、決して自分からは動かない。
体内からたまにでる針、または射撃。
このどちらかしか攻撃がこないのだ。
これほど簡単なものはない。
本物と戦うのは初めてだが、神器で何度か斬りつけるだけで終わってしまった。
つ、つまらん……!
そして私は、前回と同じようにアナグラへ帰投する。
これがゴッドイーターの指命とは、なんとも嫌なものだ。

「…くそっ、あいつら、人のことガキ扱いしやがって…」
「……実際ガキでしょう、少年」
「ガキっつうな!ってか、オレには藤木コウタっていうちゃんとした名前がな!」

アナグラへ帰ると、少年ーーーもとい、コウタが怒っていた。
その原因は、現在エントランスのソファで座っている2人だ。
小川シュンとカレル・シュナイダー。
私たちよりも先にゴッドイーターとして活動し、その腕は確かだと聞く。
多少、性格に問題はあるが。

「……言ってるヤツには気の済むまで言わせときゃいいんですよ。ああいうやつらに構ってるとか、時間の無駄労働力の無駄声帯の無駄」
「けどよ……あそこの2人さ、新人イジメするタイプだぜ、絶対!あーあ…あんなやつらと一緒にミッション一緒行きたくないなぁ」

……ホントにくだらない。

「あ、そうだ。アンタ、名前は?」

立ち去ろうとする私に向かって、コウタが聞いてきた。

「なんだかんだで、アンタの名前まだ聞いてなかったからさ」
「……フィニリオン・ラティウス。それが私の名前です。じゃ、私はそろそろ部屋に戻るんで、ガキはガキらしくそこでずっと怒ってたらどうですかー?」

……皮肉を言ってしまうのは、いつものことだ。
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