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「ライラはん〜!上手くいったみたいやんか〜」

ロハンたちの元へ行くと、ノルミン天族のアタックがトコトコと走ってきた。
向かう先は、もちろんライラだ。
結果、地面に激突することになったが。

「少しずつだが、大樹に祈りを捧げる人間も戻ってきた。俺も頑張ってみるよ」
「よかった。これで安心して旅立てる」
「え〜!行ってしまわはるんか〜?」
「アタックさんもお元気で」

寂しそうに体を揺らすアタックに、ライラが優しく微笑む。
が、その時、

「わ……私は残る!」

アリーシャが、気まずそうに声を張り上げていった。

「だって……正式にロハン様を祀る人を見つけた方がいいだろうし……」
「アリーシャ、もしかしてーーー」
「レディレイクにマーリンドの状況も報告しなくては!バルトロたちのほとぼりも冷めた頃だし、一緒にいたら、また巻き込んでしまう。もちろんもっと一緒に旅をしたい。だが……」

俯いて話すアリーシャ。
彼女は、知ってしまったのだ。
自分のせいで、スレイに重荷を背負わせてしまっていることを。
それを見たライラが、「スレイさん……」と呼び掛ける。
ここで止めないのは、主神としての判断か、それともライラ個人としての判断なのか、それを知るのはライラ本人しかいない。

「今までありがとう、アリーシャ」
「……こちらこそ」

そう言って、二人は手を重ね合わせる。
これで、アリーシャの従士としての時間は終わった。
じきに、天族の姿も見えなくなる。

「……お、お?ねえねえミクリオ。あれ、結構いいカンジじゃない?そう思わない?」

勝手にアリアの内から出てきたリズが、ニヤニヤしながらミクリオに言う。
「君は一体何がしたいんだ……」と呆れるミクリオをよそに、エドナが二人の間に立って傘を広げた。

「雰囲気つくりすぎ」
「一生の別れでもあるまいし」
「まー運が良かったらまた会えますって」

アリーシャは微笑むと、くるりと後ろを向いて立ち去ろうとした。
が、リズに呼び止められ、すぐに立ち止まる。

「アリーシャ、例のあれ、よろしくね」
「ああ、任せてくれ」

リズはアリーシャの目を見て笑うと、アリーシャの耳元に自らの口を近づけた。
他には聞こえないように両手で覆うと、何かを呟く。
その言葉に、アリーシャは不安を打ち消されたようにホッとして笑った。
若干涙目になっているが、これは俗に言う嬉し涙というものなのだろう。
その涙を拭き取ると、アリーシャは今度こそ立ち去っていった。

「?リズ、アリーシャに何を言ったんだ?」
「えー?べっつにー」









ーーーアリアはアリーシャのこと、キライじゃなかったってさ。









    




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