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ダムノニア美術館の穢れと街の穢れを一通り祓い終わったあと。
スレイたちはいよいよパピーを倒しに、大樹のある広場に向かった。
エドナが連れてきたのは、ダムノニア美術館で憑魔になってしまっていた、ノルミン天族のアタックだ。
地の主になるほどの力はないが、他の天族の力に自らの力を上乗せし、サポートする力を持つノルミン天族。
その力を借りれば、ミクリオの神器でパピーを撃ち落とせるはずだ。
予想通り、満月の光を利用してパピーを広場に撃ち落とせた。
だが、
「……っ、こいつ、想像以上に強い………!」
「街の穢れを祓って、力を弱められたんじゃなかったのか!?」
「パピーの穢れが、思っていたよりも強かったようですわ!せめて、あともう一人いれば……」
「居るかもよ?そのもう一人」
この場に居ないはずの人物の声が聞こえ、全員が振り向く。
ベージュの髪に、ピンクのローブ。
間違いない、あの姿は………。
「アリア!?」
そう、川が氾濫し、壊れた橋の向こう側にいるはずの、アリアの姿だった。
「アリア、どうしてここに……」
「細かい話はあと。スレイ、ライラ。従士契約を」
アリアがスレイをスルーしながら話す。
このような場面、どこかで見たことがある。
確か、とある遺跡で。
「アリア、でも……」
「もう一人、必要なんでしょ?」
「それは、そうだけど……」
「スレイさん」
渋るスレイに、ライラが優しく声をかける。
ライラはスレイの目を見つめるだけで何も言わなかったが、スレイには何が言いたいのかわかっているようだった。
スレイは覚悟を決めると、「わかった」と呟く。
「決まりだね。ライラ」
アリアがそう言うと、ライラは「わかりましたわ」と頷いて、スレイとアリアの手を取った。
レディレイクの聖堂での、アリーシャのように。
「我が宿りし聖なる枝に新たなる芽いずる。花は実に。実は種に。巡りし宿縁をここに寿がん。今、導師の意になる命を与え、連理の証しとせん。覚えよ、従士たる者の真名はーーー」
「ーーーフラフィティ=リーク」
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