01


「……疲れた」

研究所から出たアリアは、アロダイトの森に来ていた。
どうやらこの先に、イズチがあるらしい。

「ってか、何このバングル……邪魔なんだけど」

そう呟いたアリアは、両手両足につけているバングルを見た。
研究所から出る直前、突然研究員に無理矢理つけられたものだ。
外そうと思ったが、どうやら研究員にしか解除できない仕掛けがあるらしい。

「逃げないようにするための鎖代わりって?そんなことしなくても、逃げようとか思わないって、普通に」

アリアがそう呟いたとき、前方から何かの気配を感じ、すぐに木の上に隠れる。
しばらくしたあと出てきたのは、二人の青年だった。

「(…人間?いや、一人は天族か。ってことは、イズチの可能性大。今ここで捕獲するか……いや、
二人同時に相手すんのはめんどい。イズチに助け呼ばれたら終わりだし)」

仕方ない、諦めようと思ったその時

「っ、誰だ!?」

青年のうちの一人に気づかれてしまった。
恐らく、天族の方の。
アリアは仕方なく、木から降りて二人の前に出る。

「!女の子……?」
「スレイ、気を付けろ!」

なるほど、人間の方はスレイっていうのか。
天族の子が杖を構えるのを見ながら、アリアは考える。
天族の子が警戒するのに対して、人間の子は全くと言っていいほど無警戒。

「……お前、スレイっていうんだ」
「!どうしてわかったんだ!?」
「さっき、そこの天族が言ってた」
「!」

天族の子を指差しながら言うと、二人はとても驚き、

「ミクリオが見えるのか!?」

と、スレイが尋ねてきた。

「あ、お前、ミクリオっていうんだ。ま、ね。あたしも見えるよ、天族」
「本当!?俺、俺と同じ天族が見える人って、初めてなんだ!君、名前は!?」


と言って、スレイが目を輝かせながら手を握ってきた。
これにはアリアも想定外だったらしく、少し戸惑っている。

「ちょ、スレイ!」
「いいじゃんか、ミクリオ。俺、この子の話聞いてみたいし。それに、この子は悪い子じゃないと思う」

止めるミクリオに、スレイが反論する。
これにはミクリオも呆れて、アリアに質問をすることに方向を変えた。

「君は一体何者だ?ここに何のようだ」

ミクリオがアリアに向かって聞いてくる。
別に、二人が気に入ったとか、そんなことではないけれど。

「……道に迷った」

少しの間だけ、二人についていってみることにした。




この頃は、まだ軽い気持ち。
 





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