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「まったく。バカなの?」

ドラゴンの領域を抜け、安全な所まで逃げてくると、エドナが傘をついて言った。

「何なの?ドラゴンバスターの勇名が欲しかったの?」
「エドナさぁん!」

が、エドナの険悪ムードを完全無視し、ライラはエドナに抱きついた。

「ドラゴンになってしまわれたのかと……ホントに良かったですわ」
「あなたは相変わらずね。そのマイペースな性格、直した方がいいわ」
「それ、同意」

ライラに抱きつかれても、エドナは平然としている。
アリアがエドナの言葉に賛同すると、ライラはエドナから離れた。

「僕たちは、君を探しに来たんだ」
「じゃあ、うかつにドラゴンの領域に入ったの?やっぱりバカね」
「結局、あたしたちがバカなのは確定ってこと?」

えエドナの言葉にアリアが反応するが、エドナは無視。
ミクリオが腹を立て、ライラが謝っている。
……何かがおかしい気がする。

「まったく……で?ワタシに何の用かしら?」
「あ、うん。オレはスレイ。君の力を貸して欲しいんだ」
「壊れた橋を復旧できるように、橋の基礎を作ってやってほしい」
「無理ね」

スレイとミクリオが詳細を話し、頼みこむ。
エドナは一言できっぱりと断ったが。
この少女のこの様子を見ていれば、予想できたことだ。

「ワタシは人間が嫌い。自分本位で感情的。困ったときだけワタシたちに頼ってきて……ホント面倒。それに、お兄ちゃんを置いてなんていけないから」

エドナの言うお兄ちゃんとは、先程のドラゴンのことだ。
アイゼンという、彼女のたった一人の家族だったらしい。

「けど ……エドナ、だっけ。ここに居るのは危険すぎる」
「そうだよ。何か考えがあるのかい?」
「それはっ!えっと……鎮める方法を探してたけど、どうにもならなかったわ」

実体化してしまったドラゴンは、導師の力でも鎮めることはできない。
そのため、ドラゴンは殺し方が、本人にとっての救いなのかもしれない。
そのときアリアは、ザビーダの言っていた言葉の意味が、ようやく理解できた。

「それじゃ、エドナのお兄さんは救えないのか?」
「殺すしかない。ま、できればの話ね」

エドナは「放っておいて」と言うと、地の天響術を使ってどこかへ行ってしまった。

「どうする?追いかけるの?」
「ああ。彼女を放ってはおけない」
「……お前って、ホント変な奴だよね」
「え」

アリアはす3に向かってそう呟くと、一人で坂を降りて行ってしまった。
ライラも、笑いながらアリアについていく。

「……オレ、そんなに変?」




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