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「たんま!悪かった!悪かったって!」

ザビーダとの戦いに終わりが見えなくなってきた頃、ザビーダがそう叫んだ。

「そんなこと、ボクが聞くと思った!?降り注ぐ雷光ーーー」
「わかった!わかった!」

ザビーダは顔を青くさせながら、後ろからリズの両腕を掴む。
もちろん、そこで集中は切れ、詠唱はストップした。

「ちょ、何するんだよ!離せ!離せっーーー」
「ーーーリズ」

リズは暴れるが、スレイの一言で嘘のように静かになる。
フン、と一回鼻を鳴らすと、リズはザビーダの腕を振り払い、スレイの後ろへと隠れた。

「もうこれぐらいにしようぜ?」
「そっちから仕掛けてきたんじゃないか」
「だから悪かったってば。俺は敵じゃないって」
「はい。私たちが争うのは無益ですわ」

ライラがそう言うと、ザビーダはライラの肩に手を置いて、何かを話していた。
会話の内容は聞こえない。

「もう邪魔しないよ。導師殿」
「スレイだ」
「そこ普通名乗る!?こんな犯罪臭漂うヤツに名乗っちゃうなんて………」

リズの言葉に、ミクリオ、ライラは苦笑いをする。
が、本人はまんざらでもない様子だ。

「はいはい、導師スレイね……ってそこ。ま、大人の色気溢れる俺の魅力に気付けないとは、まだまだお子さまってことだな」
「……だ・れ・が・お子さま………っ!?」

再びキレそうになっているリズを、ミクリオが必死に押さえる。
流石にまたもう一戦となっては、こちらが負けるのは目に見えていた。

「じゃ、俺もう行くから。ドラゴンからはちゃんと逃げてくれよ」
「ここには本当にドラゴンが居るのか?」
「あんたの目は何のために付いてるんだい?スレイ殿」

そう言ってザビーダは立ち去ろうとし、再び立ち止まった。
リズは警戒し、戦闘態勢に入る。

「そんなに警戒するなよ。一つ忠告だ。お前、その体の中に入ってるみたいだが、さっさと出ていった方がいいぜ。愛しのアリアちゃんを思うんならな」
「!?なんでアリアの名前を………って、オイ、待て!」

リズは叫んだが、返事が返ってくることはない。
ザビーダはとっくに姿を消していた。

「何なんだあいつは……」
「あいつの力……浄化っていうより、むしろ穢れが食い尽くされたような……」
「話、終わった?じゃ、行こ」
「アリア。リズは?」
「………?何の事?」
「いや………覚えていないならいいんだ。行こう」




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