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「はあっ……はあっ……」
「ここまで来れば、大丈夫っぽい……?」

ミクリオと一緒に全力疾走で逃げてきたアリアは、壁に寄りかかって息を整えていた。
ミクリオも同じく。

「なんであんな場所にあんなのがいるの!?よくレディレイクの人たちはあんなのがいる真上で暮らせるよね!」
「それだけ長い間使われていないということなんだろう、あの地下水路は……」

この時アリアは、ミクリオの言葉に疑問を感じていた。
いくら使われていないからといっても、あそこまで巨大な憑魔が生まれるだろうか。
しかも、自然に、だ。

「…とりあえず、どうする?トライする?」
「いや、やめておこう。まずはアリーシャの屋敷に行く。もうスレイが地下水路はから帰ってきているだろうし、スレイならまず最初にアリーシャのところへ行くだろうからね」
「おおー!さすがスレイ!いつになく積極的だねー!聖堂のときといい、本命には攻めるタイプなのかなー?」
「…たぶん、君が考えているのとは違うと思うが……」









「ほら見てみてよミクリオ。スレイとアリーシャが手を繋いでるよー?」
「静かにしろアリア。スレイたちに気づかれたらどうする。……あと、もう少し離れてくれないか」

アリーシャの屋敷に着いたアリアとミクリオは、テラスにある木に隠れていた。
木が思っていたよりも小さかったため、二人で密着しないと見れないのだ。
アリアは特に気にした様子はないが。

「(……なんだか、手のかかる妹を持った気分だ)」

スレイとアリーシャが手を繋いでいるところを見て騒ぐアリアを眺めて、ミクリオは心からそう思った。
先程からライラがチラチラとこちらを見ていることから、ミクリオとアリアに気づいているのだろう。
せめて変な勘違いをしていないことを祈ろう。

「あ、ほらほらミクリオ!スレイとアリーシャが行っちゃう!」

ミクリオが目線を上げると、アリーシャが屋敷を飛び出し、スレイがアリーシャを追いかけようとしていた。

「え、なにあの状況。仲違い?仲違い?」
「たぶん、そんなものではないと思うが……とにかく、ライラ置いていってくれた置き手紙を読んでみよう」




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