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ライラが案内したのは、レディレイクの湖が見える場所だった。
今でも十分綺麗だが、天族の加護があった頃はもっと綺麗だったらしい。

「大事な話があるんだね」

スレイがそう言うと、ライラが振り返って三人を見る。

「はい。改めてお伝えいたしますわ。導師のなすべき使命を」

それからライラは話し始めた。
導師のなすべき事は、憑魔となってしまった人や天族を浄化することだけではない。
憑魔を生む『穢れ』の源泉とも言える存在、『災禍の顕主』を見つけ出し、鎮めること。
これが、導師のなすべきもっとも重要な役目だという。

「だけど、そいつは一体どこにいるんだ?」
「今は導師の使命を理解してくれればそれで十分ですわ」

ミクリオの問いに、ライラはそう答える。
答えづらい質問なのか、一度にたくさん言われても理解できないと思ったのかはわからない。

「私はスレイさんに答えを導き出して欲しいのです。後悔のない、スレイさんの答えを。スレイさんのままで、使命は忘れず、けれど縛られずに」
「オレの答え……」
「そのために、スレイさん。災禍の顕主が何をこの世界にもたらしているのか。
そしてこの世界で人や天族がどのように生きているか。その目で確かめて欲しいのです」
「確かにオレはこの世界のこと、全然知らない……」
「世界を旅して、色々識って……その上で導き出した答えを持って、災禍の顕主に相対して欲しいのです」
「難しく考えることはないんじゃないか?要は世界を旅して回ればいいって事だろう」
「そーそー。スレイはスレイなりにこの世界について学べってことで。めんどいけど」
「ですわ♪」
「……うん」

ミクリオ、アリア、ライラの言葉に、スレイが頷く。
スレイの言葉を聞いてから、ライラはスレイの内へと戻っていった。

「とにかく飯!腹減りすぎて倒れそう!」
「シリアスムードぶち壊し」
「じゃあ、宿に戻ろうか。スレイが倒れる前にね」

ミクリオがそう言うと、スレイたちは宿屋に向かう。
しばらく進むと、アリアは一番後ろで立ち止まった。

「……………………………………」

アリアの両手両足につけているバングル。
そのうち左手につけているものが、今、微かに震えたからだ。
触ってみても、反応はない。

「…アリア?どうしたんだ?」
「……何でもない。行こ」

ミクリオが立ち止まって、アリアに言う。
アリアはそう答えると、スレイたちの後を追った。




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