07
アリアたちを助けたのは、とある暗殺集団で、アリーシャ姫暗殺は手違いだったらしい。
そして、アリーシャ姫に別の危機が迫っていることも教えてくれた。
アリーシャ姫を助けるためには、聖堂にある聖剣の祭壇に行かなければならないことも。
スレイから話を聞いたアリアとミクリオは、聖堂の正面口が混んでいるからという理由で、聖堂の裏口に回った。
が、
「何だ。祭りを見たいなら表に回らないか」
と、警備兵に止められてしまった。
「(ま、そうなるよね……)」
「でも、お兄さん通ってたよね」
そう言ってスレイは、先程裏口から出てきた商人を見た。
恐らく、セキレイの羽だろう。
「そりゃ、僕は運営に協力してるし」
「そういうことだ。ここは関係者以外立ち入り禁止だ」
「急いでるんだ。そこを何とか!」
「ダメだ!」
スレイと警備兵の攻防戦はしばらく続いたが、結局スレイが引き下がった。
が、しばらくしてまたスレイが警備兵に声をかけると、今度は関係者である証拠を見せろと言われた。
「…スレイ、アレ」
「?アレって?」
「アリーシャ姫の」
アリアがさりげなく王家のナイフの事を伝えると、スレイはそれを警備兵に渡し、すんなり中に入れた。
聖堂のなかはとても賑わっていた。
長い間誰も抜けなかった聖剣を、一般人も一回だけ抜くチャンスがもらえる企画はとても人気があるらしく、長蛇の列ができていた。
あの聖剣を抜いた者は、導師となることができるらしい。
「せっかく入れたのに、ここからじゃ祭壇が見えない、とか考えてる?」
「あはは……つい……」
「天遺見聞録信者……?」
天遺見聞録とは、この世界の伝承や遺跡などが書かれている、歴史マニア必須の本で、スレイの愛読書だ。
作者は未だにわかっていない。
スレイ苦笑すると、ミクリオはどこかへ行ってしまった。
「お、おいミクリオ」
「ふふふ。僕の特権だよ」
「ちぇ……」
スレイがミクリオを追うと、
「スレイ……?」
そう呼ぶ声が聞こえ、下を見てみる。
そこには、ピンクの服に鎧をまとった、一人の少女が立っていた。
△ | ▽