3 (視力が落ちても、急にじゃなければあまり自覚がないものなのか…) ぼんやり考えながらテラスへ出た。 青々と茂る木々に囲まれた館は場所によっては薄暗いが、テラスにはまだ燦々と陽が照らしていてその眩しさにザンザスは目を細めた。 『目が悪くなるぞぉ』 口うるさい副官が毎日のように言うそのセリフがまさか現実になるとは。 「あっれー?ボスじゃん。テラスにいるなんてめっずらしー」 「僕は初めて見たよ」 テラスへ出入り口には跳ねた金髪にちょこんと冠を載せた青年と隊服のフードを目深に被った少女が並んで立っていた。 「お前は他人に興味なさすぎなんだよ、マーモン。」 「うるさいな。お金にならないことはどうでもいいんだよ」 なんだかんだで喧嘩しつつもこの二人はいつも仲良く並んでいるな、と思った。この年頃の人間はこの屋敷には多くないからか。 とりあえず2人とも顔を隠しているので見えづらくても普段から別段困ることはない。 それにさっきの二人、レヴィとルッスーリアも大柄な体に特徴的な髪の色をしているし判断に困ることがない。 ぼんやりとでも見えていれば生活するには大して困ることがないのだなと思う。 (…そういえば最近アイツの顔が霞んでいたな…) ふと銀色の副官を思い出した。 [mokuji] [しおりを挟む] TOP |