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「お゛?いたなら声かけろよ御曹司ぃ」
ようやく銀色が振り向いた。
午後の穏やかな光が短く跳ねた銀髪にキラキラと反射した。

ゆっくりこちらへ近付いてくる。
なぜかドキドキとする。日差しを浴びてより一層真っ白く見えるせいか、それとも普段はみない穏やかな表情のせいか…
「どうしたぁ?そんな変な顔して」

ふいに顔を近付けてのぞき込んできたスクアーロの頬に、思わず触れた。温かい、柔らかな感触が手のひらに広がる。
青みがかった銀色の目が大きく見開かれた。
「う゛、ぉぉい…なん…だぁ…?」

なんだ、と聞かれても
(それがわかったら苦労しねぇよ。)
真っ白なそれに触れてみたかった、血が通ってるのか。というほどに白く、透き通っている。しかしちゃんと温かく、全体的に硬そうな見た目に反して柔らかい。

頬を包む大きな手のひらは一向に離れる様子はなく、なんだか恥ずかしくなってきたスクアーロはほんのり頬を赤らめた。
困惑と照れに揺れているその表情がとても可愛らしく、ザンザスは内心戸惑った。
(くそっ…なんだこれ…)


ぐっと眉間に皺を寄せたザンザスをスクアーロはパチパチと瞬きして見上げた。


ちゅっ



「!」
「…」

思わず唇が触れた。
薄い唇は触れてみると柔らかく、弾力があった。

一瞬ポカンとしていたスクアーロは、状況が飲み込めたのか耳まで真っ赤にして口元を両手で抑え、走ってザンザスの部屋から出て行ってしまった。

(アイツ…あんなんで大丈夫か…?)
素直な反応をし過ぎだ。と、スクアーロが走り去ったドアの方を見つめながら正直不安になった。


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