2 「お゛?いたなら声かけろよ御曹司ぃ」 ようやく銀色が振り向いた。 午後の穏やかな光が短く跳ねた銀髪にキラキラと反射した。 ゆっくりこちらへ近付いてくる。 なぜかドキドキとする。日差しを浴びてより一層真っ白く見えるせいか、それとも普段はみない穏やかな表情のせいか… 「どうしたぁ?そんな変な顔して」 ふいに顔を近付けてのぞき込んできたスクアーロの頬に、思わず触れた。温かい、柔らかな感触が手のひらに広がる。 青みがかった銀色の目が大きく見開かれた。 「う゛、ぉぉい…なん…だぁ…?」 なんだ、と聞かれても (それがわかったら苦労しねぇよ。) 真っ白なそれに触れてみたかった、血が通ってるのか。というほどに白く、透き通っている。しかしちゃんと温かく、全体的に硬そうな見た目に反して柔らかい。 頬を包む大きな手のひらは一向に離れる様子はなく、なんだか恥ずかしくなってきたスクアーロはほんのり頬を赤らめた。 困惑と照れに揺れているその表情がとても可愛らしく、ザンザスは内心戸惑った。 (くそっ…なんだこれ…) ぐっと眉間に皺を寄せたザンザスをスクアーロはパチパチと瞬きして見上げた。 ちゅっ 「!」 「…」 思わず唇が触れた。 薄い唇は触れてみると柔らかく、弾力があった。 一瞬ポカンとしていたスクアーロは、状況が飲み込めたのか耳まで真っ赤にして口元を両手で抑え、走ってザンザスの部屋から出て行ってしまった。 (アイツ…あんなんで大丈夫か…?) 素直な反応をし過ぎだ。と、スクアーロが走り去ったドアの方を見つめながら正直不安になった。 [mokuji] [しおりを挟む] TOP |