小説 | ナノ







「お前の怒りに惚れた。お前についていくぜぇ」

まるでRPGの仲間キャラのようなセリフと共に銀髪の目つきの悪いガキが俺の前に現れた。
「カスガキに何ができるっていうんだ」

「なんでもするぞぉ。俺は剣士だ。お前の敵を切りはらってやるぜぇ」
ニヤリと笑ったそのガキは左手に携えた剣を俺に見せた。


(変なタイミングだ…充分怪しいが……手駒は多い方がいい)


そのガキがヴァリアーにスカウトされたのはそれから数日後だった。
(タイミングが良すぎる。やはり俺への監視が目的か?!)

「う゛ぉぉぉぉい、御曹司。聞いてんのかぁ?」
「うるせぇよカス」
「名前教えただろぉ。…ったく、まぁいいや。お前からもテュールと戦えるように口添えしてくれよ。」
「めんどくせぇ」

スクアーロは毎日のように屋敷にくるようになった。
何か探ってるのかと思いもしたが、どうもコイツは根っからのバカだ。



部屋に入ると、カーテンが風に揺れている。
(窓…閉めたよな?)
窓辺に近付くと、銀髪のガキがバルコニーにいた。
「…」
(また勝手に入り込みやがって)

バルコニーに佇むスクアーロの白いシャツが風にふわりと揺れて線の細い背中が見えた。
この少年は自らを剣士と名乗ったが、それにしても随分細い。成長期とはいえ、中性的な顔に細い首に白い肌。
見つめていると、なんだか胸がモヤモヤする。



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