小説 | ナノ




10


中心地とはいえ、9時前になり人通りもなく暗い夜の街を駅に向かって歩くザンザスをスクアーロは小走りで追いかけていた。
「なぁ!ボス!!車呼ばねぇのかぁ!?」
ザンザスの広い歩幅に慣れないヒールのスクアーロは追いかけるのがやっとの状態だ。

カッカッカッカッカッ

ヒールの高い音が響いた。
(やべぇ・・・結構怒ってる)

「なっなぁ!ボス、ちょっと待っ・・・」
カッカッカッガリッ!!ガシャン!!
「!??」

ザンザスの腕をつかもうとしたその時、逆にスクアーロのほうが腕をつかまれ薄暗い駐輪スペースのフェンスへ体を押し付けられた。
「っ・・・な・・・に・・・・いてぇ・・・」
「はなせよ・・・ボス・・・ザンザス!」
「るせぇ」
「んっ・・・!」
髪を掴まれ、顔を上げさせられ噛み付くように口付けをされた。

「跳ね馬にノコノコ着いていきやがって」
「ぁ・・・っはぁ・・・」
「着飾られて大事にされて満足か?」
「ちがっ・・・!」
「るせぇよ」
ガシャン!
右の頬をぶたれたスクアーロガよろめいてフェンスにぶつかった。

ザンザスが胸ポケットから細長いものを取り出し、スクアーロの腕を縛りザンザスに背を向けるようにフェンスに拘束した。
(くそっ!ネクタイもってんじゃねぇかぁ!)
ノータイで高級ホテルに堂々と入っていったくせにこういうときには使うのかよ、と心の中で悪態を付く。


ドレスの背は大きく開いており、むき出しの部分をザンザスの指がなぞった。
「んっ・・・ぁん」
「どうした、淫乱鮫。殴られてイッたか?」
スクアーロがビクンッと跳ねるたびザンザスが楽しそうに笑った。

ビッ

布の裂ける音がして、ロングドレスのスカートが大きく裂かれ足が外気に曝された。
「っぅぉおい、ボス!何しやがる」
「黙れ。」
「あっ・・・っぐぅっ!」
頭をフェンスにぶつけられ、崩れ落ちそうになる。

「ちゃんと立てカス」
「心配すんな、服ぐらい跡で買ってやる」

耳元でそう囁いたザンザスは裂け目から手を割り込ませスクアーロの小ぶりな尻をなでた。

「んっ・・・ここで・・・やる気かぁ・・・・?」
にやりと笑ったザンザスの口元を見たスクアーロは、腹を括った。
(んとに趣味悪ぃぜ、クソボス)



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