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21


ザンザスには、ここ最近気になることがあった。先程も何やら一人で騒いでいた様だが、スクアーロが何かおかしい。
目覚めてから数ヶ月の間に、数度ルッスにだけ行き先を告げて出かけたり何かコソコソとしたり…出発前の手紙もそうだ。


(アイツ、何を隠してるんだ…?)

気にはなる。何に於いても常にザンザスが最優先されてきたのに今はそんな気がしない。
気が短いザンザスはスクアーロの行動に流石に苛立ってきていた。


(カスごときになぜこんな苛立つ?…クソっ)


スクアーロだけではない。ヴァリアー幹部たちはきっとスクアーロの何かを隠している。
あいつらは知っていて自分は知らないこと、それが堪らなく不愉快だ。


『謹慎中は、どこにいても構わないが暴力沙汰を起こせば即刻全員の身柄を拘束することになるからね』

耳障りなジジイの声が頭の中で響く。争奪戦以降、未だ辛うじて暴力は誰にも振るっていない。

「クソ…っ」





ひとつの家のように本館から離れになった客室に宿泊しているヴァリアー一行は思いのほか静かに過ごしていた。


「ししっ。滞在中にボスがスクアーロに手をあげるに1万ユーロ」

「むむっ…。賭けにならないじゃないか。」

「あら、じゃあ手をあげない方に私は2万円★」

「ちょっと!通貨は統一してよね!」



浴衣姿でゴロゴロと寛ぐベルの背中に乗ったマーモンが立ち上がった。

「あはっ、そこ気持ちいい〜。マーモン、もっと〜」

「お金とるよ。」

「払う払う」

マーモンがベルの背中をムギュムギュと踏み始めた。


「仲良くて妬けるわ〜。」


目の前の微笑ましい光景を楽しんでいると、隣室…ザンザスの部屋の襖がスパァンッと良い音を立てた為全員がピタリとその場に固まった。




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