14 季節は巡り、秋を迎えた。 シルヴィアと離れてから6年が経ち彼女は7歳になった。 時折、スクアーロがシルヴィアとの面会にボンゴレの福祉施設を訪れている。 スクアーロが会いに行くと、嬉しそうに笑い真っ白な頬がうっすらと赤みがかる。二人で手を繋ぎ、枯れ葉の落ちる中庭のベンチに座って話をした。 「今日はね、不思議な夢を見たのよ。」 「ん?どんな夢だぁ?」 「あのね、ボンゴレのお祖父さんと黒い髪の人が出てくるの。」 「…!?黒い髪!!?」 「私と同じような赤い目だったよ。その人と私は手を繋いで、お祖父さんにバイバイするの。眩しい光で目の前が真っ白になって、目が覚めても夢の中で繋いでた方の手がスゴく熱かったんだよ。不思議でしょ?」 「っ…シルヴィア……それは…」 「ママン?」 暗殺者として情けないが、あからさまに表情が強張る。何と言えば良いんだろうか。この子は父親の存在を知らないし、面倒を見てくれている9代目に対しての不信感も持ってはいない。まさか超直感だとでもいうのか、有り得ない。 しかし、表社会で暮らすこの子には自分たちのことは詳しく知らせない約束になっているので、本当に何一つ知らないはずなのだ。 「…ただの夢だぁ。不思議な、夢。お前最近本の読み過ぎじゃないのかぁ?」 努めて明るく、話を逸らそうとした。相手は子供、ひとつの話題を持続する事などあまりないだろう。 「うーん…そっかぁ…。昨日も本は沢山読んだけど、お祖父さんも先生も沢山読むと褒めてくれるし私の知らないことを書いてあるから面白いのよ。」 妙に大人びた様子で話す娘に、スクアーロは自然と笑った。 (いつの間にか、どんどん成長してるもんなんだなぁ…) [mokuji] [しおりを挟む] TOP |