小説 | ナノ




13


9代目の館から戻り、スクアーロはまずルッスーリアに相談した。
「スクちゃんは、良いの?」

「そりゃ、嫌だぁ。でも、正直俺は女でガキで片腕だってこんなんだぁ。」

スクアーロが自身の生身ではない左手を見る。

「…スクちゃん…」

「それにもっとまともな場所で平和に暮らさせてやれるなら、例えジジィの策略であっても…悪くないんじゃないかってっ」

スクアーロの目に涙が溜まり、零れるとシルヴィアが小さな手で頬に触れた。

「ぅ〜?…マンマぁ?」

「ごめんっ…ごめんなぁっ…シルヴィア…こんな頼りない母親で」



◇◇◇◇◇


それから半年の猶予を貰い、いきなりだとトラウマになりかねないため徐々にシルヴィアとスクアーロの距離を離し、スクアーロは任務に復帰するために訓練を始めた。


ザンザス不在の2度目の誕生日には皆が盛大に嘆いた。

「ザンザス…18歳、おめでとう…」

中でもスクアーロは人一倍落ち込み、春にはシルヴィアも事実上ボンゴレに渡すことになる。
「ううっ、不憫だわ〜スクちゃんっっ」
「最悪だねジジィ。王子マジで殺しにいくよ。」
「うぉぉっボス〜っ」


「なぁ、シルヴィア。お前のパパン早く帰ってくるといいなぁ。」
小さな体を抱きかかえて、スクアーロはザンザスの部屋の椅子に座った。

「パパン?」

「そう。お前のパパンはかっこいいんだぞ。お前と同じ綺麗な赤い目で、強いんだぁ。」

生身の右手で愛おしそうにシルヴィアの頬を撫でた。


「ママンはシルヴィアのこと、パパンと同じくらい好きだからな」




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