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12



テーブルの上には上品な薄紅色をした紅茶がほんのり湯気をあげていた。目の前の9代目ボンゴレファミリーのボスはカップを手に取り紅茶を一口口に含んだ後、ゆっくりと口を開いた。

「…1年と少し…ヴァリアーの屋敷で過ごしてみて、どうだったかな?幼い子供を伴っていては君も何かと不自由ではないかな?」

「…何が、言いたい。…んですか。」

(クソっ…何を企んでるんだあ?)

「うぁあんっ」

「う゛ぉっ…悪い、シルヴィア」

警戒し過ぎているスクアーロが放った殺気にシルヴィアが目を覚ました。

「うぁ…ぅ」
「ごめんなあ。」

シルヴィアをあやすスクアーロを見て9代目は感心し見入っていたが、今日呼び出した目的を伝えるべく話を始めた。

「近々君を任務に復帰させる。」

「っ!?マジかぁ!!?」
「ただし」
「?」

「シルヴィアはボンゴレの施設に預けてもらうよ」


「なっ…んだそれっ!人質かあ!?」

スクアーロがバンっとテーブルを叩くと、シルヴィアがビクリと跳ねた。

「違う、君と子供の安全のためだ。君は子供を抱えたまま任務につく気かね?ヴァリアーの屋敷にベビーシッターはいない。さっきのように警戒していても子供に気を取られて集中できなくなるだろう。いつ襲撃されるかもわからない屋敷、内部環境も不安定、そんな中で君はこの子を育てられるかい?」

「…」

「このままだと君自身も気を張りすぎてまいってしまうよ。君と子供、両方のためだ」


(シルヴィアの為…)

スクアーロは腕の中のシルヴィアをギュッと抱き締めた。


「返事、すぐじゃなくていいかぁ…?」


「わかった、…話を急かして悪かったね。」





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