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11


麗らかな春が過ぎ、初夏が訪れるとシルヴィアがようやく1歳を迎えた。
シルヴィアは健康そのもので、最近はベルやマーモン、スクアーロの後をついてよたよたと歩くようにもなった。

そしてあっという間にうだるような夏が終わり秋の涼しい風が吹き始める。


ボス不在になり丸1年、元より暗殺者だらけの内部はとても不安定で最近反ボス派も現れ始めたと噂されており、幼いシルヴィアは絶対に1人にはせず、常に信頼できる者と2人以上で過ごすことになった。主にまだ仕事復帰を許されていないスクアーロと共にいるのだが。


「スクちゃん、9代目がお呼びよ。…どうする?」


ルッスーリアが受話器を差し出した。
このところ、毎日のように手紙か電話がくるようになった。

「…っ…しかたねぇか…」


このままで無視してもいられず、ため息をつくと受話器をうけとった。

「プロント…」

◇◇◇◇◇


「やあ悪かったね、呼び出して。本当ならこちらから出向くべきだったんだが…」

「いえ…。」

ヴァリアーの館と同じ敷地内、と言っても数キロ離れた所にあるボンゴレ9代目の館にスクアーロとシルヴィアが呼ばれた。
「元気そうだね。」


スクアーロと、スクアーロの腕の中で眠るシルヴィアの二人を愛おしそうに見やった。スクアーロは反逆者であり、慈しまれるようなそんな立場ではないし、その謎の雰囲気になんとも言えない気持ち悪さがこみ上げてきた。


(やべぇ…一人で来るべきじゃなかったぜぇ…)


「どうぞ、座りなさい」

ソファに座るよう進められ、一瞬戸惑ったが子を抱えたまま屋敷外まで逃げるのは無理だと判断し、座ることにした。


(このジジィ、一体何考えてんだぁ?)


目の前に座る老人を睨むように見やってソファに腰掛けた。




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