一瞬
ほんの 一瞬だったが、その背中に“名”が見えた気がした。

欲望なのか
浅ましいまでの俺自身の夢なのか
命のみならず、輪廻を越えてまでその全てを差し出せと


(ただの…我が儘なのか―――?)


独り善がりな 俺だけの







騒がしさに我に返る。
気づかない内に午後の授業は終わっていたらしく、ざわめく教室内は日常を描いていた。

かつては、自分もこれがそうなのだと信じていた風景がそこには在った。



(違う――…ッ)



例え許されなくとも、“名”がもう居ないのだとしても
一度取り戻した真実は、己の心だけは偽れない。
否定なんて出来ないのだ。


(そもそも色恋なんざ、自己中心的な我が儘なんだよ!今更――!)


今更、だ。

散々振り回して来た。
過去の、しかし確かに己の我が儘に。


『しょうがない方…』

微笑みながら、それでも伸ばした腕を拒まず受け入れてくれた。
その命までも己に捧げて散ってしまった愛しい名。


あの“名”とは違うのだと。
それを理解して受け入れることは身を千切られたる程に辛いけれど

『伊達君――』


生徒としてでさえ、あの声に呼ばれてしまえば全身が解けてゆく。
全身が叫ぶ。

名前でなく、器でなく
魂が彼女を欲しているのだと。



(思い出さなくてもいい。
―――どうせ許しちゃくれねぇだろうからな)


始めから、愛されなくても構わない。

“信じた道を突き進む”

言ったのは彼女だ。


「俺は、“お前”が欲しい」




告げるべき相手は、今此処には居ない。

いつの間にやら教室内はしんとして、自分以外誰一人残ってはおらず


今回自分は城主ではなく、彼女の主でもない。
今生彼女がどんな幼少期、青春時代を過ごしたか、想像するしかないが


「どんな過去も塗り替えてやる」


親も、兄弟も、友人達すら

過去も、思い出も
現在も、そして何より未来も



「誰も入り込む余地なんて与えねぇ」


唐突に断ち切られた運命を、今生こそは

「さぁ…本格的にApproachさせてもらうぜ?Honey」


にやり、片頬を上げて弧を描く唇


「Let's party―――」



新しいPartyが 始まる。






終わらない恋にな









101216


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長くし過ぎない様に頑張ったらこんな事に!?
多分、続き書きます(笑)
名様、読んで頂いてありがとうございました!


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