潜入、そして逃亡。
バスケを見ながら、そういえば私の通っていた中学はバスケが強かったんだっけとか思い出していた。
一度も見に行ったことなんてなかったけど。
図書委員の後輩は元気かなぁとか思っているとマネージャーさんがでてきた。
あの人生徒会のめっちゃ頭いい人じゃん!
「ひいろ、終わったわよ」
「おつかれー、ありがと。
そうそう、相田、この子が名前。」
「えっと、ひぃちゃんと同じクラスの苗字名前です」
「苗字さんね、ひいろから話は聞いてるわ。
私は相田リコ。バスケ部の監督やってるの。」
監督ってこの人だったのか!マネージャーとか言わなくてよかったわ。
まさか生徒が監督とか思わなかった。相田さんハンパない。
「終わったんなら入ってもいい?モップくらいかけるよ」
「いいわよ。
モップも一年がするから気にしなくていいわ。」
「ちょ、待って、私外で見てるから!」
「じゃあ遠慮なく入るよ。
お邪魔しまーす。」
え、ひぃちゃん完全無視ですか。
+++
「あ、山本さんと苗字さん」
「やぁ伊月、さっきぶりね。お疲れさま。」
私ははじめて体験する部活の雰囲気に戦々恐々としていた。さっきのこわい人に怒られないだろうか。
というか、元幼なじみには会いたくないので逃亡を図ろうと思う。
バレない程度にきょろきょろしてると見知った顔を見つけた。
抜き足差し足忍び足という完全な布陣で彼の元へ一目散。
「黒子くん、久しぶり誠凜に来てたんだね、ところでちょっと匿ってくれないからいますぐに」
「ええ、構いませんよ」
小声ながらも早口でまくし立てると黒子くんはあっさり頷いてくれた。
「ありがとう黒子くん」
ひぃちゃんはまだ気づいていないようだ。
「あの女性から逃げているんですか?」
「うん。あとは一応伊月くんもかな。」
まぁ黒子なら存在感が無に等しいし、ついでに私も黒子くんパワーで隠してもらいたい。
「…伊月先輩にはあんまり効果ないんですけどね。
まぁ日常生活なら大丈夫だと思いますが。」
あ!!ひぃちゃんが気づいた!般若の顔で辺りを見回している。
私は黒子くんの背中に隠れている状態だ。
ひぃちゃんと伊月くんと、一応日向くんからも。
きっと覚えていないだろうけれど。
07.潜入、そして逃亡。
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