ちゅどーーーん
「で?そのかび臭さの原因はなに」
可愛い可愛い友達に向かって、かび臭さはないでしょうよ!とつっこむほどの気力もくなく私は机に上半身を預けていた。でろーんと溶ける私はスライムかなにかのようだ。
「どうせ日向くん絡みなんでしょ」
「どうせってなにー。」
「ん?日向って日向順平のことか?」
「そうよ」
そうよってひぃちゃんそこはごまかしてくれるところじゃないの?ねぇ?
こういう話で盛り上がるのは男も女も変わりないのだ。況して高校生、お付き合いだなんだと恋に勉強にと忙しい生徒たちばかりだ。
「苗字さん、日向と知り合いなの?」
「元幼馴染なんだってさ」
「"元"ってなんだ…? 幼馴染だったんだな。その割にはあんまり話したりしてないよな?」
サラっと会話に入ってくる展開は阻止したい
…したかった。
私に気力があればもちろん阻止していた。
なんだよ髪がサラサラだからかこんちくしょう。
キューティクルサラ男って名付けるからな!流行りそうな気がする。伊月くん風にいうとキタコレ!
「――ってな訳よ」
「ふうん、じゃあ見学くれば?」
ん?見学?
05.ちゅどーーーん
[ 5/21 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]