友人:ひいろの尋問

「"元"幼馴染って一体どういう意味なの。
 なーんか面白そうな匂いがするし、洗いざらい吐いてもらうからね」


ポロッと口から出た言葉にこんなに質問責めにされるなんて思ってなかった。
この友達、山本ひいろは容赦というものを知らない。幼馴染なんてワードを放っておくわけもなかった。

数分前の自販機事件(と命名しよう)から場所は移り、現在は私たちのホーム、教室である。昼休み故に空いていた、私の机の前を陣取る山本ひいろ‐ひぃちゃんによって尋問が行われているところだった。さながら熟年刑事のひぃちゃんのは、自白を迫るおとものカツ丼、はないが代わりにポッキーを手にしている。

「隠してた訳でもないんだけれどなぁ。
 昔ね、小学校の途中までは日向くんの家のお隣に住んでいたことがあって。だけど、引っ越しちゃってそれからは学校が違うから、"元"幼馴染って言ったの。」

「それただの幼馴染じゃん」

「向こうは覚えてないって。忘れられたら幼馴染なんて言えないでしょ?」

幼なじみなんていって「はぁ?誰おまえ」なんて言われたらただの恥ずかしい勘違い女になってしまう。私にとって日向くんはずっと忘れることのない友達だけれど、彼にとって同じ存在であるかなんて、今や確認する術もない。

「ふーん。そういうもんなのかねぇ。あたしにはいないからよくわからないけど。
 そういえば、どうして今まで気づかなかったの?」

「金髪なんて視界に入れようとも思わなかったからかな」

「ああ、そうかあの人、今まで金髪だったものね。」

はじめにひぃちゃんが言っていたことのなのだけれど、どうやら日向くんは金髪ロン毛だったらしい。日向くんにそんなイメージはなかったし、さっきの様子でも爽やかな好青年にしか見えなかったのだけれど、中学の間に随分と変わってしまったのだろうか。グレる日向くんもあまり想像できない。


ちなみに私は金髪とはお近づきになりたくない。
これには理由がある。もともと金髪は怖いイメージもあったのだけれど、ある時期やたらと金髪に絡まれていたのだ。いかにうまく逃げるかという日々は目印である金髪を避ける・視界に入れないことで乗り切っていた。


「あの人、今の髪型の方が似合うわね」


「いや、私、金髪時代知らないから」





02.友人:ひいろの尋問


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