まぁ、あんたは悪くないよ
私は、日向くんが好きだと認めてしまったものの、
どうすればいい
伊月くんは日向くんが私(多分)のことを好きだと言っていた。
けれど、私に恋心を自覚させるだけじゃないのかっていう気がしてきたのだ。
伊月くんはバスケでは司令塔をやるというくらいなんだから、きっと策士なんだろう。
ところで、今日は、待ちに待った週末である。
家にいようかと思ったけれど、お母さんにお使いにだされたのでついでに自分の買い物でもしようかと思う。
やってきたのは都内の某大型ショッピングセンター。スタバ行きたかったんだ。
一人でくるのもどうかと思ったけど、私の周りの人たちは何だかんだで忙しい。ぼっちという言葉は認めない。
お昼過ぎだからか、部活帰りらしいグループもいくつか見られる。
うわ、金髪かよ。ご存知でしょうが私の苦手なものは恐いヤンキーなんです。
うわ、こっちくんな!
そのグループはこっちに近づいてきた。ちなみに現在はスタバです。
練習着かアップかわからないけど、その服とエナメルバッグに書いてあるところをみると、彼らは海常高校バスケ部らしい。
私でも聞いたことあるぞ、強いんだろうなぁ。
彼らはレジに並んでいて、どうやらここでお茶でもするらしい。なんだ最近流行りのスイーツ男子ってやつですか。金髪置いて、こっちこい。
金髪去れー金髪去れーと睨みつけてたら、よく見る顔であることに気づいた。モデルのキセリョじゃん。
ヤンキーという線は消えたが、なんかチャラそうでいやだ。むしろシャラシャラしてそう。
「結構人多いな。座るところあるか?」
「あ、あそこ空いてるっス」
ちらっと、視線の先を探ると私の隣の席だった。おぅふ。
すいませーんとあつこちにぶつかりそうになるバッグを気にしながらこっちに来ている。
まぁ、仕方ないか。
別に絡まれたりはないだろう。
通りやすいように椅子を引いてあげた私の優しさプライスレス。だれか誉めて。
彼らが私の後ろを通る瞬間、彼らを挟んだその向こうの人たちが立ったようだ。おまっ、空気読め!
「ちょっ、うわ……っ」
ガシャーン
案の定とでもいうべきか、バランスを崩したキセリョのトレーに乗っていた物が落ちた。
私の頭の上にね。
「ははは、嘘やん」
ボタボタ
あ、甘い匂いするわ。
「っ!!!!すんませんっス!!」
「黄瀬ぇぇえ!!てめぇ、気をつけろっつったろうが!」
15.まぁ、あんたは悪くないよ
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[mokuji]
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