「あ、ちょっと待ってろ」


 日向くんはくるっと向きを変え、部室と思われる方へ向かった。


日向くん、もしかしたら

もしかしたら、私のこと覚えているのかもしれない。


 なにか、ひぃちゃん達が言っている気もしていたが、固まっている私の耳には入って来なかった。



+++


「これ、名前のだろ?」


 そういった日向くんの手の平にあったのは、

「日向、それ、飴か?あ、パイン飴とか懐かしいな。」


「ああ。そうだ。

 懐かしいな。」



私の記憶とポケットにある、パイン飴だった。


「昨日来てたの名前だったんだな。
 もしかしたらと思ったんだが。」



ポロッと目から水が流れたなんて、私は知らない。



「え、俺なんか悪いこと言ったか?

 あー、とりあえず、
 これ、なめろよ。」




11.証(シルシ)




――――
パイン飴好きです

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