07
「連れてきたから、扉開けろ」
火翼さんの声に従ってヒカルさんは扉へ向かった。
火翼さんとともに現れたのは小さなクリーム色の馬。
炎が揺らめいている。
「か、かわいい…!!見たことあるようなないような。ちっちゃくてかわいい!」
大きな黒い目にハートを撃ち抜かれ、駆け寄ると馬がうなった。
【はぁ?!ちっちゃくねえよ、かわいいとか目がいってんじゃねえのかよ】
炎が大きさをました。
ヒカルさんや火翼さんの引き攣った顔を見る限りこの馬は暴言を吐きでもしたのだろう。
「なによ、何か文句ある?」
あからさまな態度にむかっとしたあたしも喧嘩腰になる。
「ちょっと待てお前ら、
ポニータ、名前さん、二人はパートナーになるから」
「【ぜったい、やだ!!】」
言葉はわからないけど、あたしとこの馬は絶対合わない。
馬が合わないと呟いたらヒカルさんに洒落かと笑われて恥ずかしかった。
「オレ…じゃなかった、私の勘だけど、お前ら相性いいと思うよ」
いやいや、何いってんの
【本人たちが合わないって言ってるんだけど…】
「おま、チャンピオンの勘なめんなよ」
ヒカルさんはいい笑顔で馬の頭をガシガシと撫でて沈めた。
「嫌なら無理にとは言わないが、それぞれフォローしあうのには丁度いい。
ポニータは俺達も以前から知ってるから名前についていてくれると安心できんだよ。
やることは色々あんだからゆっくり決めればいい」
【そんなこと言ったって、火翼サン…】
火翼さんは正論をいうので、何も言えない。
というか、イケメンに弱いんで、あたし。
火翼さんに名前呼び捨てで初めて呼ばれ、しかも心配してくれてるっぽいのでちょっとだけ馬がどうでもよくなった。
【俺もヒカルがよかった】
火翼さんを羨ましげに見る馬はやっぱり腹立たしかった。
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