06
やっと腹を括ってヒカルさんの話を聞けば、たまに同じような人がいるらしい。
そして、ここはその人たちに説明をして、ここでの生活をサポートするための施設だとか。
一言だけ言わせて。
ヒカルさん、あんた何歳よ。
なんかこの人次元ちがう。サークルの新歓で就職難だと歎いていた先輩よりも遥かにしっかりしてるからね。
当面の予定もあたしが口を挟むまでもなくつらつらと決まっていったわ。あたし負けてる。
「忘れるところだった。
このセカイじゃあ、よっぽどの事情がない限り、みんなポケモンと生活している。
名前さんも、パートナーいた方がいいよ」
よっこいしょーいちと呟きつつ取り出したファイルをめくりながら言った。
だから何歳なのって。
「火翼、ポニータ呼んできてくれ」
「あいつか?」
「ああ、おととい来たの」
男性―火翼さんというらしい―は少し眉間に皺をよせて部屋を出ていった。
「ポニータ来るまで寛いでなよ」
ヒカルさんは煎餅をもってきてあたしにも進めた。
フエンせんべいうめーんだよなとにこにこしている彼女はきっと口が悪い。取り繕っているようだけど。
子供のような、大人のような、年寄りのような彼女をあたしはもっと知りたいと思った。
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