ハッサンと晩ご飯を食べてまだ食べ続けるハッサンと別れてオレは食堂から出た。子供になったせいで胃袋が二分の一になった気がする。もっと食いたいのになぁ、なんて考えながら階段を上がる。部屋に戻ってもテリーに睨みつけられるだけだし、外に出る。
この体ではきっと魔物ともロクに戦えないのだろう。町から出たらダメだなと引き返そうとして足を止めた。


「ドランゴ、」
「ギル、ルルン…」


町のすぐ外の大木に隠れるようにドランゴは座っていた。オレが声をかけると眠そうにしていたドランゴの目がぱちりと開く。


「…こども」


ドランゴが不思議そうにオレの体に自分の体を擦り付けたり、匂いを嗅いだりしている。
バレないか不安になったがどうやら大丈夫そうだ。


「私が…怖くない…?」
「うん、べつにこわくないよ」


そう答えるとドランゴが嬉しそうに耳をピクピクと動かした。
一緒に少し話したり、遊んだりした。
ドランゴが風邪をひかないように馬車から大きな毛布を取り出して渡す。ドランゴも自分でまだ子供だと言っていたし、実はこうやって子供と遊びたいのかもしれない。テリーにドランゴを甘やかしすぎだ、とバーバラと言ったことがあるがドランゴを甘やかしてやりたい気持ちもよく分かる。


「おやすみ」
「…ギルルン…今日は、ありがとう…」


眠ったのを確認するとドランゴの頭を撫でて宿屋に戻る。
宿屋に戻ってくると焦っているチャモロがいた。


「あ、見つけました!」
「ふぇ?」


チャモロがオレの目線までしゃがみこんで頭を撫でてくる。これは今までと立場逆転だ。オレだって可愛い可愛いチャモロの頭を撫で回してやりたいのに…!


「テリーさんから聞きましたよ。ダメじゃないですか。勝手に外に出ては。それに子供はもう眠る時間です。身長伸びませんよ。」
「わかったよ、ねる」


確かに眠いから素直に言った。
チャモロが言った言葉は今までオレがチャモロに注意した言葉だ。言われてようやく過保護すぎると気付いた。


「では、部屋まで送りますね」


チャモロがオレの手と繋ぐ。
小さいチャモロが今のオレには大きく見えて何だか複雑だ。
チャモロがしっかりしているお兄さんに見える。やっぱりオレが何かと世話を焼きたがるだけでチャモロはしっかりしてるんだよな。子供にならなきゃ見えなかったものが多くて今日初めて子供になったのも悪くないと思った。





視点が変われば世界も変わる


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