誰かに体を揺さぶられる感覚に目を開けると目の前には金色の髪を持つ美しい女性がいた。


「んぅ?」
「おはよう、ウィル君」


眠くて頭が回らない。
なんでミレーユがこの部屋に?
ウィルって誰だ?


「あ、おはよう」
「うん、おはよう。服に着替えたら下の食堂まで来れるかしら?」
「うん。なんでぼくのなまえ」
「テリーから教えてもらったわ」


ミレーユの言葉に顔が強張る。
盛大な勘違いをしていたテリーはミレーユに何を言ったのだろうか。もし、もしも…レックとバーバラの子供だ、なんて説明されてたら…。あぁ、オレの初恋が失恋に終わるかな。
ミレーユが部屋から出ていくのを見送ると素早く服に着替えて一階の食堂に向かった。


「おーい、こっちですよー!」


アモスに手招きされてアモスの隣に座る。ミレーユの隣はハッサンとテリーに盗られていた。ぐぬぬ。


「バーバラは?」
「バーバラなら部屋で食べると言っていたぞ。」


オレの疑問にテリーが答えたが声も視線も冷たくてはあ、と溜め息をついた。バーバラのことになるといつもこれだ。


「ごめんなさいね、ウィル君。テリーったらヤキモチ妬いちゃって。」
「別にオレはヤキモチなんか…」

ぷいっと顔を背けるテリーを微笑ましく見守るミレーユ。見慣れた光景だ。


「それにしてもレックさんとどこか行ったらバーバラさん一人で帰ってきて、子供まで連れて、部屋にこもって…一体何をしているのでしょうか?」
「私も聞いたんだけど答えてくれなくて。ずっと本にかじりついているのよ」


きっとこの前の呪文を解く方法を探しているのだろう。そのことに安堵する。


「バーバラがずっと本にかじりつくなんて珍しいな!」


ハッサンの言葉に全員が頷く。
朝食を食べ終えるとミレーユが手招きをした。不思議に思いながらミレーユの近くまで行くとミレーユはオレの目線までしゃがんでお散歩しよっか、と言った。


「うん、いく」
「じゃあ、手を繋ぎましょう」
「え、」


み、ミレーユと手を繋げるなんて…!子供という姿じゃなければ素直に喜べるのになぁ。


「それにしてもウィル君は本当にレックにそっくりね。レックの子供のときはこんな感じだったのかしら」


ミレーユのふとこぼした独り言に苦笑いした。







(正体明かしたら、驚くだろうな…)


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