小さな悪魔

 二月末日。
 まさか異世界に来てまで、あの小さな悪魔に追い回されるとは思わなかった。
 いやまあ、冷静に考えると逆なのだが。異世界であるからこそ、小さな悪魔に対抗する術がないのだ。
 例年ならば、毎年あの悪魔が放たれる時よりもっと前から文明の力により生み出されたシールドを張り、二月に入った頃から物理的にして古典的なシールドも張る。そしてやつが近くに来れば砦に篭り、それでもなお侵入する者は用意した無差別的な大砲で迎え撃つ。そこまでしても、奴らは私の体力を確実に奪ってゆくというのに、この世界には文明の力により生み出されたシールドも無差別的な大砲もなく、物理的にして古典的なシールドすら質が低くあまり意味がない。しかも居候の身で砦に篭るわけにもいかず、私にできることは、ただただ小さな悪魔に体力を削られながら、溢れ出る体液を拭うことだけだった。
「つまり、ただの花粉症なんだな」
「ただのって言うな大根おろしの板ですり下ろしてボロクソいいながら完食するぞ」
「せめて美味しく食ってくれよ」



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