前編

リト達が日本に戻って数ヶ月後のお話かもしれない。ネタバレはしないように気をつけてるけど、まだ読みたくない人は注意。
2014/07/15追記:パラレルどころじゃなく本編とずれてそう。でもアディと白廉のセットが面白いので残しときます。








 よう。どうした?
 あ、すみません。ちょっと迷っちゃったみたいで。あの、ここはどこですか?
 ここか?日本の、公園だな。
 ・・・ん?!に、ニホン、ですか?
 ああ。知り合いでもいるのか?
はい。えっと、リトっていう子なんですけど・・・。
 ああ。あの無表情女か。
 知ってるんですか?!
 俺が一方的に、な。
 え?
 それはともかく、リトを頼るのは難しいと思うぞ。距離的な問題もあるし、何よりあいつは家族と同居している。どこでどう知り合ったのか、リトの親にうまく説明できるか?
 う、自信ないです・・・。
 だろ。俺の知り合いの家を紹介してやる。そこを頼れ。
 あ、ありがとうございます。

 と言われてきたはいいものの、正直頭はパニック状態。いきなり知らないところに飛ばされたんだもん。だけど、リトのいる国って知って、ちょっと落ち着いた。
 にしても、それを教えてくれたさっきの人は誰だったんだろう。リトを一方的に知ってるってことは、リトはあの人のこと知らないんだよね。リト、怖い目にあってなきゃいいけど。
「ふう。ついた」
 お知り合いさんの部屋がある階に、ね。
 この建物はアパートっていって、いろんな人が集まって暮らしてるんだって。階段登ってくる時にチラッと見たけど、似てるけど違う表札がかかってるドアが、一つの階にいくつかあるみたい。表札っていうのは、何と無くそう見えたの。リトが「笹原」っていう苗字だったから、そんな感じの苗字が多いんだろうな。あ、文字は読めるよ。知らない文字なのに、意味はわかるの。変な気分。リトもこんな感じだったのかな。
 さて、お部屋はどこかな。えっとお部屋の番号は、40・・・あれ?2だっけ3だっけ4だっけ?!
 あ、そうだ表札あるんじゃん!んーと、402は、宮元さん。403は・・・空白。空き部屋かな。404は・・・これも空白。
「ダメじゃん」
 えええどうしよ、3か4かに絞れたけど、これじゃわかんない。さっきの人まだ公園にいるかな。戻って聞いたり?それよりもお部屋の人に聞いた方が早いかな??
「・・・なにをしているのだそこのデカイの」
「うひゃおぅ!」
 いきなり後ろから声かけられて、変な声出ちゃった。振り向くと、そこには誰もいな・・・あ、小さな男の子がいた。あーでもリトが僕と三つくらいしか変わらないってことを考えると、もっと年齢は上なのかな?そう思って見てみると、なんとなく大人っぽいふいんき。
「何かを探しているのか?」
「なにかっていうか、だれかっていうか・・・あの、八江さんってどこのお部屋?」
 男の子の眉がぎゅーってよった。
「俺だが」
「わお」
 やったー!いろいろ探し回る手間が飛んでった!
「あのね、僕迷子でね、あなたのお知り合いさんにね、ここを頼ったらいいよって、えっと、言ってもらって、その、」
 あ、まずい、警戒されてる。すっごい警戒されてる。それも、僕に気づかれないように警戒してる。
 忘れられてるかもしれないから言っとくけど、僕も怖くて悪い人なんだからね。相手がどれくらい強いかとかどう思ってるかとかわかるくらいには経験積んでるんだからにゃ。あ、かんじゃった。
 この男の子、えと、八江さん?くん?八江くんは、結構強いと思う。でも僕らみたいな悪い人じゃなくて・・・んー、ターリスみたいな感じかな。ターリスはほら、元・街を守るえらい人だから。強くていい人なんだよ。多分八江くんもそんな感じ。
「俺の知り合いとは?」
 八江くんも僕が観察しているのを感じたのか、さらに警戒しちゃった。
「あ、うん。その人からメモもらってるよ。はい」
 ポケットにいれてた紙切れを取り出した。ちょっとだけ僕も覗いて見たんだけと、これは読めなかった。ニホンの文字とちょっとだけ似てるけど、わかんない。
 八江くんはそのメモの中を見た途端、眉間にもっとシワを寄せて頭を抱えちゃった。
「・・・あんの、ハゲ」
「ひょ?」
 あの人、ハゲてなかったよ?むしろフサフサだったよ?
「まあいい、事情はわかった。俺の家に来い」
「ありがとう!」
 わーい!で、八江くんはリトのこと知ってるのかな。知ってたら会わせてもらえないかな。
 八江くんは403の部屋に入ってった。そこが正解だったんだ。
「頭を打つなよ」
 ちょうど打ちそうになったところです。やっぱりニホンの人って全体的にちっちゃいのかな。ドアとかちっちゃいよ。あ、靴を脱ぐのは忘れなかったよ!僕らは靴を脱ぐのはお風呂とか寝る時くらいだから、なんかちょっと変な感じ。
「お前、夕飯はどうした?」
 廊下を歩きながら話しかけられた。
「食べてないけど、晩ご飯くらいならなくていいよ」
 泊めてもらうのに、あんまり気を使われちゃうと悪いからね。
「いや、俺のついでだ。食え」
「んじゃあ、お言葉に甘えます。手伝わなくていい?」
「お前みたいなデカいのが台所にいられるのは邪魔だ。そっちでテレビでも見とけ」
 あぐぅ。わかった。大人しくソファのはじっこで体を小さくしとこ。てれびって、なんだろ。
 八江くんがカチャカチャと晩御飯の準備するのを聞きながら、ちょっと思い出し笑いしちゃった。
 あのね、さっきのご飯食べた?って会話、リトが僕の家に来た時にもおんなじこと話したんだ。邪魔だとは言わなかったけど、そっちで座っててとは言ったなぁ。懐かしいなぁ。あの時は僕、リトがあんないい子だとは思わなくって、人見知りしてたの。でも迷子だって聞いたらほっとけなくって。引き取って良かった。
 八江くんが作ってくれたご飯を食べながら、いろんなものを見せてくれる黒くて薄い箱を見てた。これがテレビっていうんだって。確かにこれは面白いや。遠くで起こってることがすぐにわかるなんて。
「そういえばお前、名前は?俺は白廉だ」
 八江くんがこっちを向かないまま話しかけてきた。
 ビャクレン?面白い名前。
「アディだよ」
「ほう。・・・どこかで聞いたことがあるような気がするのだが・・・どこだったか」
 知らないよ。僕はビャクレンって名前始めて聞いたもん。
「まあいい。どこからきたのだ?俺が送れる場所であれば送ってやろう」
「ありがとう・・・でも、たぶん無理だよ。僕、ホルメンっていう遠いところからきたんだ」
 言ってもわかんないだろうけど。
 と思ってたら、白廉くんは食べる手を止めて僕の顔をじぃっと見てきた。
「え?なに、なに?どしたの?」
反応がない。どうしちゃったのかな?さっきまではぜんぜんこっち見なかったくせに。
 しばらく待ってたら、白廉くんがおもむろに口を開いた。
「・・・俺は、イセンの生まれだ」
 あれ?イセンって確か、
「僕イセン知ってる!海の向こうの小さな国でしょ?」
「ホルメンから見ると、そうなるな」
 うなずいてくれた。
「あと、あれでしょ、悪い幽霊とかを倒す人たちがいるところ」
「ほう、よく知っているな」
 白廉くんの表情が柔らかくなった。
褒められて照れ笑いをしたところで、気がついた。
「・・・あれ?ってことは、白廉くんってニホンの人じゃないの?!」
「ああ。おそらく俺もお前と同じだ。突然こちらに来てしまってな。その後、日本に帰化したのだ」
 うそーー!!
「そうとは見えないくらい馴染んでると思うよ!」
「そうか?まあ確かに、日本とイセンは文化が似ているからな。慣れるのに時間はかからなかったな」
 文化が似てる、てことはイセンでも家で靴脱いだりするってことか。
「え、じゃあ、じゃあ、悪い幽霊を倒す人にあったことある?」
 期待して白廉くんを見ると、なぜか白廉くんが照れた。
「俺が、それなのだ。皇、と呼ぶのだがな」
「えっ!」
 しばらくの間言葉が出なくて、白廉くんをじっと見たまま動けなかった。
「・・・なんとか言えよ」
 あう。
「僕、小さい時に絵本で読んで、かっこいいなぁってずっと思ってたんだ!」
「え、絵本になっているのか」
 白廉くん、びっくりしてるみたい。でも僕はそんなことお構いなし。
 そっか。道理で強くていい人なわけだ!
「ねえねえねえねえ、見たい!僕も幽霊退治見て見たい!」
「そんなにいいものではないぞ」
「それは僕が見てから決めるから!ねえ、お願いー」
 白廉くんが、嬉しいけど困るみたいな複雑な顔になった。
「わかったわかった。お前がうちにいる間に依頼が来たら、見せてやろう」
「やったーー!!」
嬉しすぎてバンザイしたら、天井から吊り下げてるランプにカーーンってあたった。痛いけど嬉しいから痛くない!
「危ないから、俺の助手と一緒に少し離れたところにいるのだぞ!」
「はーい」
 助手なんているんだね!すごいね!
 知らない国で知らない人と、って不安だったけど、いまはむしろニホンにいる間が楽しみになってた。




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