デート!デート!!デート!!!

「じゃ、次なみから質問いくよ?」
「あー、俺もまだ聞きたいことあったが、まあいいだろう。なんだ?」
「八江くんここにいるってことは、この学校に入ってくるの?」
 今僕が一番気になることを聞いたら、また歩きだしてた八江くんが小石につまずいた。
 え、え、どうしたの?
「おま…俺が何をしていたのかはいいのか?」
「ああ。それは、なんかあんな感じの黒いもやもやを倒す正義の味方かなーって」
 これが小学校の時最初に見てから考えてた結果。
 あってる?と聞くと、まあ間違ってはいないが…と曖昧に返された。
「聞かれても保留にしようと思っていたのだがな。俺もこの学校に入るから、明日手紙を認めて渡そう」
 了解の返事をしてから、これはチャンスだと気づいた。
 何のチャンスって、メアド交換のチャンスだよ!
「ねぇ、メールにしない?」
「なにをだ?ああ、聞くのを忘れていたが、お前はここの寮生だよな?」
「え、うん」
 そういえば、寮が近い。あ、僕電気点けっぱだ。
「なにをって、手紙をだよ。早く八江くんのお仕事のこと聞きたいしさ」
「ああ、なるほど」
 と答えて、八江くんは頭を掻いた。
「携帯を持っていないのだが、パソコンでもいいか?」
 えっ。
「ええっ!八江くん携帯持ってないの?!」
「も、持っていなければおかしいか?」
「おかしいってか、不便だよ不便!!」
 いまどきそんな天然記念物な高校生いるの?いる?いるならごめん。
「今のところパソコンでも困っていないのだがな…」
「えー。でも携帯あったら便利だよー?」
「そうか…今度教えてくれ。とりあえず今はパソコンのメアドを渡しておくぞ」
「おっけー。今度ショップ行こ」
「頼む」
 八江くんから名刺(なんで高校生で名刺??)を受け取って、ポッケにないないしてから、気づいた。
 これってさ、これって、デートの約束しちゃった?!?!
「ぴゃあ!」
「どうした?」
 うわわわわ!!!八江くんと二人っきりで携帯選びに行って、しかもさ、もしかして、八江くんの電話帳に僕の名前だけが入ってるとか、そんな展開?!うわーわわわ!!!
「おーい。着いたぞー」
「ふぇっ?」
 現実に戻ってくると、寮の入口が見えた。
 あっちゃー。ドア開けっぱで出てきちゃった。寮長先生に怒られるかなぁ。
「あれ、そういや八江くん、どうやって入ってきたの?」
 敷地の門は閉まってるだろうから、入れないんじゃないのかな。
 そう思って聞くと、ちょっと笑われた。笑われたっていうか、ドヤッ、ってされた。
 なんかちょっとかわいい。
「お前、俺の運動能力をなめているのか?」
 おれ?
 さっき、ってかあのもやもや退治の時とか、あと小学生の時は自分のこと「私」って言ってなかった?
 ポカンとしていると、八江くんはくるっと後ろを向いて、塀の方に走っていって、飛び乗っちゃった。
 確かにその塀を超えたら外には出られるよ。でもそれ結構高さあるし、しかも上にトゲトゲの糸張ってなかった?
 うん、やっぱりトゲトゲ糸ある。で、八江くんはそれの上に乗ってる。いや靴があるから痛くはないんだろうけど、バランス取りづらくないのかな?
 って確認していると、八江くんは肩ごしにこっちを振り返ってにやって笑い軽く手を降って、でそのまま消えた。まあ飛び降りたんだろうけど。
 僕はしばらくそのままぼーっとしてた。
 それからぼーっとしたまま寮の中に入って、ぼーっとしたまま自分の部屋に入って、ばふんとベットに倒れこんだ。
 それでそっからが大変だった。
(わーーーーーあぶぶぶぶぶぶるすこふあーー!!!!!ってなんだっけ!!!いやそんなことはどうでもいいんだよ!!!ななな何さあの最後のかっこいいの!!にやって!!!肩ごしににやって!!!!!そんで手降ってしゅばっとかなにそれかっこよすぎるるるるるるうああああああああああ!!!!)
 ちょっと頭の中が大変なことになってきた。もう深夜に近い時間だから寝なきゃいけないことはわかってるんだけど、目をつぶったらさっきの八江くんのにやっとかその前のドヤッとかもっともっとまえの夜桜が背景の八江くんとかが浮かんでくるから困る。
 今日はちょっと眠れる気がしないなぁ。


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