白髪赤目でアルビノだと思った?思ったでしょ??ざんねぇーん!普段の目は普通に黒色でぇーす!!

「…は、ちょ、えぇ?!」
「はは、やっと驚いたな」
 そ、そんなしてやったりな顔で笑わないでよ!どきっとするじゃんっ!
「普通こんな状況を初めて見て、平常心を保てるやつなどいないからな。少し試したのだ。すまない」
「むぅ…笑いながら言われてもぉ」
 初めて見たときは、そりゃぁ驚きましたとも。それと同時にかっこいい八江くんに見とれたんだけど。
「で、どうなってんのそれ?」
「ああ。詳しい説明は面倒だから省くが、多少の物なら体内収納できるのだ」
「痛くないの?」
「…まあ、傷を付けてるわけではないからな。痛みどころか異物感もないぞ。ほら、触るか?」
 八江くんは狩衣をめくって腕を見せた。
 確かに、手首まであって指先のない手袋を付けた腕は傷一つ無い。
 それどころか、筋肉もあるしお肌すべすべだから触り心地が…。
「………もう、いいか?」
「あっ、ごめん」
 うっかり触りすぎた。
「それでも、やはりおまえは変な奴だな」
 八江くんが鎖をなおしながら言った。
 鎖は指先なのね。もしかして、そのための指だし手袋なのかな。
「変って、どう変なのさ。具体例は?」
「並べ挙げよと言われたらいくらでもあるぞ」
 鎖をなおし終わって僕のところに来た。さっきまで赤く光ってた目がふつうの黒色になってる。
「まず視覚的なところからいくぞ。その格好は何だ?」
 言われて、自分の今のかっこを見てみる。
 あ…部屋にいたときのまんまだ。
 つまり、タンクトップに短パンで毛布をかぶり、小豆バーの棒も持ってた。足は裸足にスニーカー。
 うん。変な奴だ。
 でも、素直に認めるのも悔しいから、笑ってごまかしといたら、ため息をつかれた。
「次。体内収納することを気持ち悪がら無いだけでなく痛くないかを聞いたこと」
「うーん…そっかぁ…」
 気持ち悪いわけ無いじゃん。八江くんなのに。
「そもそも、悪霊…初めての奴から見れば黒い怪物に食らわれそうだったというのに、その状況下で見学を申し出たことも相当変だぞ」
「それはなみもちょっと思ったけど」
「は、なみ?おまえのことか?」
「あ、うん」
 僕は、人と話すときには一人称を『なみ』にしてるの。『僕』でも『私』でも、だましてるような気分になるから。
「で、おまえ自身もおかしいと思ったということは、やはり怖かったのか?」
「いや、それは全然」
「何故?」
「いやぁ、八江くんがいるから大丈夫かなーなんて」
「なんだそりゃ」
 理解できないと言うように少し首を振って、八江くんは歩きだした。僕もついていく。
「あとお前、何故俺を知っているんだ?」
 あ、ちょっとショック。
「覚えてない?小学校同じだったんだけど」
 言うと、八江くんが突然止まって振り返った。ぶつかりそうになってたたらを踏む。
 しまった、ぶつかったらよかった。
「わっかんないかなぁ…髪上げたらわかる?」
 ヒントを出すつもりで髪を手でまとめて持ち上げる。髪伸ばしだしたの、小学校卒業してからだもんね。
 八江くんはしばらく僕の顔を見てから、自信なさげに言った。
「…沢本南?」
 よかった。記憶の中にはいたんだ。
「せいかーい」
 髪を下ろして笑うと、なぜか八江くんが遠い目になった。
「はぁ…ずいぶんと変わったものだな。俺の記憶の中でのお前は、結構目立たない奴だったぞ。それがこんな華やかに…」
「まあね。いろいろあったんだよ」
 具体的に言うと、恋とか恋とか恋とかとかとか。
「そうか。みなみ、の『み』を一つとって『なみ』か。女のように見えるのは、わざとか?」
「うん。女装男子だよー」
 わざとじゃなかったら、そのセリフは傷つけちゃうよー。
「それにしてもお前、よく俺だとわかったな。俺は逆に髪を切ったぞ」
 ええ、なみの八江くんレーダーが働きまして。
 なんて言えないから、まあね、とだけ返しといた。


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